青森県警は16日、今年10月に今別町内に住む60歳の男性が秋田県内で交通トラブルが発端の暴行に遭って死亡したという事件について、実際には保険金目当てで殺害されたことがわかり、15日午後に家族を含む3人を殺人容疑で逮捕していたことを明らかにした。
青森県警・捜査1課によると、問題の事件は今年10月2日に発生している。今別町内に住む32歳の男性から「父が死んでいるようだ」と警察に通報があった。同署員が現場となった民家に急行、布団に横たわる60歳の男性は意識が無く、病院に運ばれたが死亡が確認された。
通報者は死亡した男性の長男で、警察の事情聴取に対して「前日(10月1日)の夕方、秋田県小坂町内の国道282号線沿いにあるタイヤチェーン脱着所で仮眠を取った際、父が何者かに暴行を受けたらしい。たいしたことはないと本人が言うので警察には通報せずに家に帰った」と供述した。
男性の死因は外傷性ショックとみられ、体に暴行を受けたような痕跡も確認できたことから、警察では交通トラブルを起因とした殺人事件と断定。現場となったのが秋田県であることから、秋田県警とも連絡を取り合って捜査を開始した。
ところがNシステムによる車両通行記録を分析した結果、事実が明らかになる。
長男は「約30分間の仮眠を取った」と証言していたが、現場となったチェーン脱着所を含む2点間の通行時間は平均的な所要時間に沿ったものであり、30分間の休憩時間を含むのは物理的に困難なことがわかった。
また、犯行グループが乗っていた可能性の高い大型保冷車の通行記録は上下線とも確認されなかった。
さらには事件直前、死亡した男性に対して多額の保険金が契約されていたことも判明し、これらを元に追及したところ、長男は保険金目的の殺人だったことを大筋で認める供述を始めたという。
実際の暴行は10月1日の午後7時30分ごろ、青森県藤崎町藤崎中川原付近の河川敷で行われており、一家に事業資金を融資していた43歳の男が棒で死亡した男性を数分間殴りつけるなど、激しい暴行を加えたという。
長男は瀕死となった父親をクルマに乗せて自宅に戻り、そのまま布団に寝かしつけ、翌朝死んでいることを確認した上で警察に通報していたこともわかった。
警察では死亡した男性の長男、死亡した男性の妻にあたる60歳の女、そして実際に暴行を加えた43歳の男の3人を15日午後、殺人容疑で逮捕した。
今後はこの3人を厳しく追及。動機の解明を急ぐ方針だ。