一人でサイレンや赤色灯の操作はできない…元警官が証言

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職務質問した私服警察官を暴力団員と誤認し、自転車で逃走する際にクルマにはねられて死亡した少年の遺族(両親)が、群馬県を相手に総額約2億4600万円の損害賠償を求めた国家賠償訴訟の口頭弁論が17日、前橋地裁で開かれた。

事件当時に覆面パトカーを運転していた元警察官が証言台に立っている。

問題となった事件は2001年11月18日に発生している。同日の午後9時ごろ、群馬県高崎市浜尻町付近で、無灯火状態で走行する自転車2台を同所付近で覆面パトカーに乗ってパトロールしていた群馬県警・高崎署の私服警官3人が発見。助手席にいた巡査長がクルマを降り、2人に対して「おい、兄ちゃん」などと声を掛けた。

ところが自転車に乗っていた少年は自分たちに声を掛けたのが警察官ではなく、暴力団員と誤認。トラブルを避けようとその場から逃走を開始した。

ところが警察官も自分たちが暴力団員と誤認されたとは思わず、2人の行動を「職務質問を振り切って逃走した」と判断。

自転車は途中で二手に分かれたが、警察官はこのうちの一方に対して「止まれ」などと叫びながら追跡。途中からは覆面パトカーもこれに加わって追跡を行った。

少年はクルマ(覆面パトカー)に追われたことでパニックとなり、逃げる途中で幹線道路に飛び出してクルマ2台にはねられて死亡した。

その後の調べで警察官が暴力団員に誤認されたことや、追跡時に警察官であるという自らの立場を明らかにしなかったこと、追跡に参加したパトカーも赤色灯やサイレンを使わないなど、数々のトラブルが明らかになった。

少年の遺族は「職務質問や追跡の方法が違法であり、これが事故につながった」として、群馬県警(群馬県)を相手に国家賠償訴訟を起こしていた。

17日に前橋地裁で行われた口頭弁論には、覆面パトカーを運転していた元警察官(当時は高崎署・刑事2課所属の巡査長)が証言台に立ち、原告側代理人からの尋問を受けた。

尋問では赤色灯やサイレンを使わなかった理由について問われたが、これに対して元巡査長は「通常は助手席に同乗した警察官が操作するが、当時は追跡のために降車していた。被疑者がどう動くか判断できず、被疑者を注視していたため、一人で操作する余裕は無かった」と話した。

また、事件当時は私服で捜査していたことを認め、「私服によって警察官があることを隠そうとしていたわけではないが、制服では警察官とすぐに認識されてしまうため、それを避ける意味で私服での勤務を行っていた」と、一種禅問答的な説明を行っている。

《石田真一》

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