「犬も一緒に救急車で運べ」男を逮捕

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福岡県警は1日、「バイクにはねられた飼い犬を救急車で運べ」などと救急隊員に対して恫喝や暴行を加え、実際に病院に搬送させたとして、北九州市小倉南区内に在住する2人の男を公務執行妨害の容疑で逮捕した。

犬の飼い主に当たる男は「愛犬が傷ついている様子を目の当たりにして、カッとなってしまった」と、容疑を大筋で認めている。

福岡県警・小倉南署によると、事件が起きたのは10月17日の午後9時ごろ。北九州市小倉南区新道寺付近の国道322号線で、43歳の男性がバイクで走行していたところ、前方に飛び出してきた犬(柴犬系の雑種)をはねた。

同時にバイクは転倒し、運転していた男性は路上に投げ出され、鎖骨や肋骨など、複数を骨折する重傷を負った。

事故の目撃者が119番通報を行い、現場には北九州市消防局・小倉南消防署三谷出張所から救急隊員が駆けつけた。2人の救急隊員は路上に横たわる男性に対し、救命処置を行っていたが、ここにはねられた犬の飼い主と名乗る44歳の男と、その知人の54歳の男が乱入してきた。

飼い主の男は救急隊員に対して「人ばかり診とらんで、犬のケガも診ろ」などと怒鳴り、男性の処置を続ける隊員に対し、頭を小突くなどの暴行を加えるなどした。

また、知人の男は救急車近くで搬送の準備をしていた別の隊員に対して「人間と犬を区別する気か。犬もケガしているだろうが、こっちも病院に運ばんかい」と怒鳴りながら体当たりし、頭を数回に渡って殴打した。

本来、救急車では衛生上の問題から負傷した動物を運ぶことはできないが、2人の救急隊員は「拒否すると男たちが大暴れするとともに、本来必要な負傷男性への救命処置が遅れたり、救急車そのものを破壊される恐れがある」と判断。男性と一緒に犬も乗せて病院に運んだ。

犬は首の骨を折っており、ほぼ即死だったとみられるが、救急車の後をクルマで追走してきた男たちは病院の医師や看護師に対しても「お前ら人間と犬を差別する気か。ケガをしているんだから、まとめてここで治療せんか」などと強要。これを医師が拒否すると、近くの備品を蹴るなど大暴れした。

被害の報告を受けた消防局と病院は警察に被害届を提出。これを受け、警察では2人から任意で事情を聞いていた。

この結果、飼い主の男は「目前で自分の飼っていた犬が傷ついているのを目撃し、しかもそれが路肩で放置されているのを見て頭に血が上って、カッとなってやってしまった」と供述したため、容疑を認めたと判断。1日までに公務執行妨害容疑で逮捕した。

知人の男も同容疑で逮捕したが、こちらは容疑に関与したこと自体を否認している。

事件発生当時、男は近くのスナックで酒を飲み、泥酔に近い状態だったという。また、犬は放し飼いにされており、国道を単独で歩くことも多かったようだ。

《石田真一》

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