川崎市宮前区内の市道で、本来の規制とは異なる表示の交通標識を設置し、記録が残っている1999年以降に71件の誤った取り締まりを行うというミスが生じていた。神奈川県警は納付された約40万円の反則金も順次返還する方針だ。
これは神奈川県警・宮前署、同・交通規制課が3日、明らかにしたもの。本来の規制内容とは異なる誤った標識が設置されていたのは、川崎市宮前区有馬付近の交差点に設置されていた標識。
この交差点では、1980年に「大型貨物車の右折(左折)を終日禁止する」という内容の規制がなされた。右折(左折)した方向にある道路の幅員が狭く、大型車の通行が困難だと認められたためだ。
ところが市道全体の交通量が多くなり、生活道路に乗用車が入ってくるシチュエーションが増えてきた1995年、同署では乗用車を含めた全車両の右折(左折)を禁止するというように規制内容を改める方針を打ち出した。
ところが同署は公安委員会に規制内容の変更を届けぬまま、新たな標識を設置。実際の効力は発生していないにも関わらず、交通違反の取り締まりを開始した。
1995年から1998年の間の実数は定かではないが、署内に記録が残る1999年以降は71件の違反摘発が行われ、総額で約40万円の反則金が納付されていた。
今年10月、違反摘発を受けた付近の住民から「昔はトラックだけだったのに…」と抗議を受けたことで同署が調査を開始。それによって実際には規制内容の変更がなされておらず、標識には効力がないことが判明した。
同署では公安委員会に規制内容の変更を改めて届け出るとともに、規制内容の変更が正式に認められるまでの間は署長権限で右折(左折)の禁止の措置を取っている。
また、これまでに摘発し、記録が残っている71人に対しては納付された反則金の返還を行うとともに、処分の抹消手続きも順次行っていくとしている。
同署では「規制内容を決定したのは1995年だが、現時点でも変更が認められていない以上は、署長権限に臨時措置が決定する以前に行われた摘発については、誤った規制内容によって摘発が行われたとみなす。今後はこうしたミスが生じないよう、チェックを徹底したい」とコメントしている。