歩行速度が従来型よりも格段に早くなっただけではなく、走るという機能も加った新型『ASIMO』(アシモ)だが、中身は従来型と比べてどのように進化したのだろうか。
新型アシモの開発を担当した本田技術研究所・和光基礎技術研究センター、ASIMO研究室の重見聡史・主任研究員は「どこが…というわけではなく、ハードウェアな部分からソフトウェアまで、全体的に改良を施しています」と説明する。
CPUのクロック数は明らかにされていないものの、処理能力は従来型の10倍近い。これに高い応答性を持つ新しい制御ソフトウェアを組み合わせたことでスピーディな動きを実現したという。
足裏に設置されたセンサーが着地の衝撃を感知し、それがCPUに伝わるまでの応答時間=歩行演算能力は4倍の速さとなり、言い換えると、速度を4倍にしたことで、従来型の1/4の時間で同様の姿勢制御ができる。
モーターも従来型よりも高い出力のものを採用しているが、「それだけでは高速化にはつながりません。高速化を実現したのは腰の回転軸を追加してバランスを取り易くしたこと、そしてより人間らしい動きを実現した姿勢制御など、総合的な技術投入の成果です」と重見さんは語る。