11日、北海道釧路市内の運送会社で、事故を起こした52歳のアルバイト運転手の男に注意をしていた33歳の運行管理者の男性が、この男に刃物で左胸を刺された上、乗用車にはねられて死亡するという事件が起きた。
男は男性を殺害した後、同市内の銀行に立てこもり、自殺を図ろうとしたところを警官に確保され、銃刀法違反と暴力行為法違反の現行犯で逮捕されている。
北海道警・釧路署によると、事件が起きたのは11日の午後0時30分ごろ。釧路市星が浦南1丁目付近にある運送会社から「社員がアルバイトの男に刃物で胸を刺された」という内容の通報が寄せられた。
同署員が現場に駆けつけた際、この会社で運行管理者を務める33歳の男性が血まみれで倒れており、近くの病院に収容されたが出血多量で間もなく死亡が確認された。
他の社員が「アルバイト運転手として入社した52歳の男と死亡した男性が、激しい怒鳴りあいをしていた」と供述。トラブルの直後に現場から姿を消していることから、警察ではこの男が容疑者と断定。殺人容疑でその行方を追った。
その事件発生から約20分後の午後0時50分ごろ。逃走していた容疑者の男は男性を刺殺した際に使用した包丁を持ったまま、釧路市北大通6丁目付近にある銀行を訪れ、男性行員を人質にして「カネを出せ」と脅した。
通報を受けて駆けつけた警察官が男を説得したこともあり、行員は解放されたが、その直後に男は自分の左胸を包丁で刺して自殺を図った。
警察官は男が刃物を持った時点で突入し、男を銃刀法違反と暴力行為法違反の現行犯で逮捕している。男は左胸を切る重傷を負ったが命に別状はなく、事件当時に居合わせた客や行員約20名も無事だった。
警察が行った事情聴取に対し、男は「殺害した男性に今月8日に起こした物損事故の責任を追及され、腹が立って刺した。包丁は脅かすために自宅から持ち込んだ」、「逃げようとした男性をクルマではねた」などと供述している。
しかし、銀行に立てこもった動機については口を閉ざしているという。
同署では男の回復を待ち、殺人と強盗未遂の容疑で再逮捕する方針だ。また、今後も男を厳しく追及し、一連の事件についての動機などを調べるとしている。