「クルマを開発する際には、決められたコストを、どう配分するかが最大の問題となるのですが、ラフェスタに関しては走行性能に関わる部分に、より多くのコストを割り振ることにしました」と語るのは、『ラフェスタ』の開発責任者である、日産自動車商品企画本部、チーフ・プロダクト・スペシャリストの横山泰造さん。
『ラフェスタ』といえば、パノラミックルーフや、取り回しのよさなどにスポットが当たることが多い。だが、実際には走行性能に関わる部分に対して、多くのコストが割り振られているようだ。
横山さんは「主力グレードの価格は、170万円台と決めて、動かしたくはありませんでした。その中での予算の割り振りでは、新開発のエンジンとCVTに、だいぶお金をかけてしまいました」と語る。
ラフェスタには新開発のMR20DE型2リッター直4DOHCエンジンと、こちらも新開発となるエクストロニックCVTが採用れている。このパワートレーンを搭載した、『ラフェスタ』の走りは、市街地での機動力が光る。
発進時にはアクセルをわずかに踏み込むだけで、1400kgを超える、決して軽くはないボディを、軽々と押し出してくれる。そして走行中に加速を必要とする場合でも、アクセルに乗せた足に軽く力を入れた程度で、スルスルっと速度を乗せていってくれる。市街地から高速の合流まで、少ないアクセル開度でまかなうことができるので、実燃費も期待できそうだ。
ただ、全開加速をするような場面では3500rpm以上になると、ややエンジンノイズが大きくなってしまうのが惜しいところ。とはいえ、、これだけのトルクがあれば、よほどの急加速が必要でない限り、ほとんど3000rpm以下で走ることができてしまうだろう。
横山さんは「今回ラフェスタに搭載したエンジンとCVTは、ともに新開発ということもあり、同時期に開発が進みました。そのため、エンジンはこのCVTと組み合わせることを想定し設計されているので、結果的にベストなマッチングが図れたと思います」と語る。
ミニバンというと、とかくパワートレーンよりも、シートアレンジやユーティリティにコストを割くクルマが多いが、その中であえて妥協することなく、新開発のエンジンとCVTを採用したラフェスタの走りには、じゅうぶんにその効果が現れているだろう。(つづく)