資格は高卒以下…大卒と短大卒のバス運転手が免職

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青森市は20日、学歴を「高卒以下」と詐称していた青森市営バスの運転手2人を同日付で懲戒免職処分にすることを決めた。採用試験の受験資格を偽ったことが問題とされているが、厳しすぎる処分には市民からも疑問の声が上がっているようだ。

これは青森市・交通部が明らかにしたもの。

青森市営バスでは地元への就職促進のため、市営バスの運転手を含む“技能労務職採用試験”については「高卒以下」を受験資格として定めている。

が、今回の懲戒免職処分対象となった43歳と35歳の運転手は共に最終学歴を偽り、それぞれ大卒、短大卒であるにも関わらず、応募時に高卒と偽って筆記試験を受けていた。

2人とも高校を卒業していることは間違いないが、元々が高卒以下を対象とした試験内容であるため、「大卒や短大卒が受けると点数に格差が生じることがあり、正規の受験者との間に格差が生じてしまう」というのが懲戒理由のひとつとなっている。

同市では地元での雇用確保を推進する目的もあり、中途採用者の試験でこの学歴条項を採用している。高学歴化が進む中、就職が徐々に難しくなっている「中・高卒」を公的機関に採用することで救済するという意味合いが強かったともいわれる。

ところが地元での就職難に悩むのは、短大・大学卒でも同じことであり、2人が受けた採用試験でも受験倍率は高かったようだ。

また、公的機関の試験では「高卒程度の学力、「大卒程度の学力」と応募条件を定めることが多く、今回の青森市営バスのように「高卒以下」と定めるのは珍しいといえる。

同市では「2人が受験資格を偽ったことは間違いない」として、それを懲戒免職の理由としているが、市民からは「職業選択の自由からも公平とは言えないのではないか」、「懲戒免職は行き過ぎた罰ではないか」というような疑問も上がり、市への問い合わせも相次いでいる。

また、懲戒免職となった2人は当然ながら第2種の大型免許を有しており、バス運転手の養成に時間と費用が掛かることから、こうした費用を軽減する目的からすでに免許を取得している人を積極採用するバス会社(自治体の交通局)は多い。

実際、今回の処分対象となった43歳の運転手は1984年に大学を卒業し、試験を受けたのは1996年となっている。また、35歳の運転手は1989年に短大を卒業し、1998年に採用試験を受けている。いずれも新卒ではなく、それ以前に別業界を経験している。

過去の受験資格の偽りがあったとはいえ、少なくとも数年間の勤務と運転実績のあるベテラン運転手を突然解雇してしまうことの是非については今後も議論を呼ぶだろう。

《石田真一》

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