てんかん発作を起因とした事故で実刑判決

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乗用車を運転中にてんかん発作を起こして意識を失い、7人を死傷させる事故を起こした男に対する判決公判が23日、長野地裁で開かれた。裁判所は被告に対して懲役4年の実刑判決を言い渡している。

問題の事故は2004年3月7日に発生している。同日の午後3時40分ごろ、長野市川合新田付近の国道18号線で信号待ちのために停車していた乗用車5台に後続のRVが追突。クルマ数台が関係する多重衝突事故に発展した。

この事故で1人が全身を強く打って死亡。6人が重軽傷を負った。

警察ではクルマを運転していた40歳(当時)の男を業務上過失致死傷容疑で逮捕したが、男は事故当時にてんかん発作を起こして意識を失っていたと供述。これまでにも同様の事故を起こしたことも後の調べで判明した。

23日に行われた判決公判で、長野地裁の青木正良裁判官は「被告はてんかんを原因とする意識傷害をこれまでにも起こし、1999年には物損事故を起こしたこともあり、医師からクルマの運転を避けるように言われていた」、「被告はてんかん発作を抑えるために1日3回服用しなくてはならない薬の量を自らの判断で減らすとともに、気晴らしをする目的でクルマの運転を続けた。この結果として事故は起きている」と指摘した。

男は事故直前にもてんかん発作の前兆を感じたが、その際には「まだ大丈夫」とこれを看過。しかし、その直後に意識を失い、約50km/hの速度を保ったまま前走車に追突した。

裁判所は薬の服用を無視したり、前兆を看過した部分に過失が生じていたと判断。「運転を差し控えるべき注意義務があったのにこれを怠った」として、被告に懲役4年の実刑判決を命じている。

てんかん発作を起因とした事故については、今月21日に大津地裁でも判決が言い渡されているが、こちらは「意識を失う前兆を感じていたが、運転中止の判断に至る前に意識を失った可能性もある」として無罪になっている。

規定量の薬を服用しない、前兆現象を看過するという部分は過失に当たると考えられるが、同様の事故要因がテーマとなった裁判で短期間のうちに相反する異なる判断が出たことにもなる。

《石田真一》

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