3月3日に発売が開始された三菱『ランサーエボリューションIX』。『エボリューションVIII』からの進化は、主にエンジンに関するもので、足まわりに関しては昨年発売されたエボリューションVIII MRのものが使われている。ただしランサーエボリューションIXではリヤの車高が5mmほど下げられており、この5mmが走りを大きく進化させている。
ランサーエボリューションIXの開発をとりまとめた、三菱自動車商品企画本部 藤井啓史さんは「じつは、昨年発売されたエボリューションVIII MRに採用された足まわりや4WDのシステムなどは、エボリューションIX用に開発されたものでした。それをMRの登場に合わせて先行投入したので、走行性能の面ではエボリューションIXとMRでは大きく変わるところはないのです」
「ただ、エボリューションIXではダンパーとスプリングのセッティングを若干変更して、リヤの車高を5mm落としています。リヤの車高を下げることで、接地感を高めることができ、さらにスーパーAYC(アクティブ ヨー コントロール)の効果を向上することができました」と語る。
実際にエボリューションVIII MRとエボリューションIXを乗り比べてみるとその差が感じられた。エボリューションVIII MRではコーナー進入時にスパッとステアリングを切り込むことで、オーバーステアになるような場面でも、エボリューションIXではリヤの追従性が高く挙動が安定している。確かにスーパーAYCの効果を、より強く引き出してくれているようだ。
カタログには現れない、たった5mmのリヤの車高の差だが、限界域ではそのわずかな差が走りに効いている。(つづく)