暴走族潜入取材の責任、編集長に及ぶ

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静岡県警は16日、暴走族の集団暴走に取材と称してスタッフを派遣するとともに、暴走行為の間接的な支援を容認していたとして、実話系の雑誌で編集長を務める33歳の男を道路交通法違反(共同危険行為幇助)容疑で同日までに書類送検した。

静岡県警・交通指導課(暴走族対策室)によると、道交法違反(共同危険行為幇助)容疑で書類送検されたのは、東京都内の出版社が刊行する実話系雑誌で編集長を務める33歳の男。

この男は自社に出入りするフリーランスのライターやカメラマンが過去に暴走族に所属していたことを知りつつ、仕事を発注。昨年6月上旬、この2人が企画として提案した「引退暴走密着ドキュメント」の取材を認めるとともに、自社の編集スタッフ1名を現場立ち合いとして現地に派遣していた疑い。

男は部下の編集者Aに対し、取材中の移動手段としてレンタカーを手配するように指示。現地に派遣された編集者Bを含む取材スタッフ3人は2004年6月20日未明、このレンタカーを使って暴走行為の取材を実施したが、実際にはこのクルマも暴走集団の中に入っており、集団と同様に信号無視や蛇行運転を繰り返した。

この日の暴走は車両約40台が参加する大規模なもので、警察では追跡するパトカーなどから撮影した映像を基に暴走に参加したメンバーを特定。後日に道交法違反(共同危険行為など)で40人を逮捕している。

この取り調べの過程で、暴走に参加したメンバーは「当日は取材が入っていた。気合いを入れて走ってくれと依頼された」などと供述。さらに調べを進めたところで以前に暴走族活動に参加した前歴のあるフリーランスのライターとカメラマンの存在が浮上。これら人物についても特定を進め、昨年12月までに同容疑で逮捕した。

逮捕されたライターとカメラマンは「企画を持ち込んだが、最終的に取材実施の判断を下したのは編集長」と供述したため、警察では編集長の実際の暴走には参加していない編集長の責任について慎重に調べを進めていた。

この結果、「2人が元暴走族メンバーだったという前歴を知った上で、編集長が仕事を発注した可能性が高いこと」、「2人は“実際に潜入し、同行する”と編集長に伝えており、これを受けるかたちで移動手段(レンタカー)を供与したこと」などの理由が暴走行為の幇助にあたると判断。編集長を道交法違反(共同危険行為幇助)で書類送検した。

暴走族活動を助長する記事を掲載した雑誌の編集長が幇助とみなされて書類送検に至るケースは珍しいが、警察では「取材スタッフ自身が暴走に参加し、それを幇助したことについての責任を追及するもので、表現の自由を制限するものではない」としている。

《石田真一》

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