三重県警は22日、直接の被害を確認せず、警察官の現認だけで暴走族の摘発が可能となった改正道路交通法が昨年11月に施行されたことを受け、走行中の暴走族を撮影するテクニックを習得するための講習会(通称:実戦塾)を同日夜に開催した。
県内9警察署の暴走族担当の捜査員が鑑識担当など撮影のプロから指導を受けた。
これは三重県警・交通指導課が中心となって実施されたもの。昨年11月に施行された改正道交法では、暴走行為を警察官が現認したり、撮影した資料があれば暴走族を共同危険行為で摘発できるようになった。
講習会は摘発のために必須となる写真撮影のテクニックを磨くために行われた。暴走族の活動が活発化する夏休みシーズンを前に、県内18警察署のうち、亀山や四日市南、伊賀など暴走族の活動が確認される9署の暴走族担当の捜査員21人が出席。
22日夜に自動車教習所のコースを仮想の公道に見たてて行われた。
証拠能力となりうる写真の撮影テクニックを指導するのは鑑識担当の捜査員。一眼レフカメラの使い方という基本的な部分から、実際の撮影テクニックまでを指導するという。
講習会で暴走族役を務めるのは、暴走族の走行パターンを熟知した白バイ隊員で、この日は実際の事件で押収し、所有放棄させた本物の特攻服も着用。蛇行運転や低速走行、追跡するパトカーから逃れる際の高速走行を含め、多種多様なパターンを再現した。
講習は警察で今も主体的にされるフィルム方式のカメラを前提に行われている。枚数に限度のあるフィルム方式のカメラでは、暴走族の走行に惑わされて早めにシャッターを切り始めると、あっという間にフィルムが無くなってしまう。
このため、講師となった鑑識担当の捜査員は「直前まで電柱の陰に身を隠し、可能なかぎりまで引きつけて撮る」、「正面からは顔を、背後からは特攻服の文字や車両の特徴がわかるように写す」と何度も指導したという。
この講習会は1995年から毎年行われているが、参加メンバーの顔がわかる写真を撮れば実際の摘発ができるようになった今年は参加するメンバーの意気込みも以前とは確実に違っていたようだ。