トヨタ『RAV4』などを大量に盗み出し、中東などに密輸出していた窃盗グループが逮捕されたことに関連し、埼玉など4県警の合同捜査本部は7日、このグループが行っていた盗難の手口の一部について明らかにした。
埼玉、群馬、栃木、新潟各県警の合同捜査本部によると、これまでに窃盗の実行役として20人を逮捕。6日には盗難したクルマを積載したコンテナを横浜港まで移送することを請け負っていたナイジェリア国籍の男が逮捕されている。
窃盗の実行役の中にもナイジェリア国籍を持つ男7人が含まれているが、このうちの1人は実質的な首謀者で、日本人の窃盗グループと手を組み、1台あたり10万円で買い取るという契約でRV車の盗難を指示していた。
クルマは廃部品扱いで輸出するためなのか、盗難の手口は非常に荒っぽく、原型を留めることよりも、短時間で持ち出すことに主眼を置いていたとみられる。ガラスを破壊して鍵を開け、ときにはハンドル自体を工具で切断してしまうこともあったという。
盗まれたクルマは埼玉県内の拠点に持ち込まれ、すぐに部品レベルまで分解。車体などのモノコックはピラーの付け根から上を切断。重ねるようにしてコンテナに積み込んでいた。海上運送のコンテナは重さではなく個数で換算されるため、詰め込めるだけ詰め込み、輸送費の軽減を図っていたとみられる。
盗難車が詰められたコンテナは横浜港から船に載せられ、アラブ首長国連邦のドバイ港や、ナイジェリアのラゴス港に向けて輸出されていた。その数は250個を超えていたことも判明している。
現地には部品を再構成し、左ハンドル車へ強引に改造してしまうブローカーもいるため、部品レベルに分解して輸送することに支障は無く、むしろそれが現地からの要請だったとも考えられている。
盗難グループの役割は厳密に分担されており、自分が関与する役割と、取り引きを行う役割を除いては互いが関与しない仕組みも作り上げられていた。これによって一部が摘発された際にも、その供述によって全員が摘発される事態を防いでいたとみられる。