1988年に初代が登場し、都会派SUVとして新たな4WD市場を作り上げたスズキ『エスクード』が3代目にフルモデルチェンジした。新型エスクードのチーフエンジニアを担当した、4輪技術本部 山田功二さんは「スズキは本来、ニッチなクルマを作るのが得意でした。このエスクードも、最初は、ほかにはないジャンルのクルマでしたが、90年代半ばからはトヨタ『RAV4』やホンダ『CR-V』が発売され、一気にライバル車が増えてきました」と語る。
扱いやすいコンパクトなクロスカントリー4WDというコンセプトが受け、初代エスクードは国内外で高い評価を受けた。しかし、その影響でトヨタやホンダも次々に同じサイズのモデルを導入し、近年では日産も『エクストレイル』を導入している。
だが、山田さんはエスクードにはライバルにはない、こだわりがあるという。それはFRベースのレイアウトだ。
「RAV4やCR-Vは乗用車からカタチにしたFFベースの4WDでしたが、初代エスクードはオフロード走行に強い、FRのラダーフレームシャシーを採用しました。新型ではラダーフレームとモノコックを一体化した、ビルトインラダーフレーム構造のモノコックを採用しましたが、FRベースのレイアウトは踏襲しています」
「FRとすることで50:50の最適な重量配分を得ることができますし、この重量配分はオフロードだけではなくオンロードでも効果を発揮してくれます」とコメント。
確かに最近のSUVやミニバンはFFベースのものが多く、FRレイアウトを踏襲するのは、こだわりといってもよいだろう。しかも新型エスクードは、そのこだわりをうまく活用して、オンロードもオフロードも難なくこなす走行性能の進化を実現している。(つづく)