「欧州のSUVは優れたオンロード性能を持ちながらも、本格的なオフロードも走れてしまうクルマが多いですが、その方向性は、新型『エスクード』に似ていると思います」と新型エスクードのチーフエンジニアの山田功二さんは語る。
「新型はモノコックボディを新たに採用し、サスペンションも4輪独立懸架にしました。この狙いは主にオンロードの快適性を高めるためです。しかし、そうすることでオフロードの性能が落ちることは避けたかった」と山田さんは開発当初を振り返る。
「オンとオフの両立のため、ビルトインラダーフレーム構造のモノコックを開発し、4WDシステムもセンターデフ方式を選びました。あえて難しい道を選んでしまったのですが、結果的にはうまくいったと思っています」と語る。
事実、新型エスクードのオンロード性能は飛躍的に進化している。乗り心地は適度に柔らかく、それでいながらフワフワした感じはしない。サスペンションがうまく働き、路面からの入力を吸収して、ボディをフラットに保ってくれる。先代まではハンドルの中立付近であいまいな動きも見られたが、新型にはシッカリとした手ごたえがある。
エンジンは145ps/19.7kgmを発生する直4の2リッターと、184ps/25.5kgmを発揮するV6の2.7リッターが用意されている。2リッターエンジンはボディが170kgも重くなっていることもあり、多少非力さを感じるが、市街地走行が主なステージなら問題ないだろう。
2.7リッター車は重量に対するトルク出力も余裕があり、乗り心地にも重厚感が増している。ランニングコストに余裕があればこちらを選びたいところだ。
エスクードの販売比率は9割が海外だという。つまり、世界戦略車なのだ。そのため、海外で評価されるためには、それなりの走行性能が必要とされる。だが、新型エスクードは山田さんのいう通りに、最近の欧州SUVの流れに乗った、オンロードも快適に走れる本格クロスカントリーSUVに仕上がっている。(つづく)