「検察官が捜査を放置」と、裁判官が指摘

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2001年9月、福岡県久山町内でクルマを無免許運転し、8人を死傷させた22歳の男(事件当時は少年)に対する判決公判が7日、福岡地裁で開かれた。裁判所は被告に対して懲役2年の実刑判決を言い渡した。裁判官は判決で検察側の捜査体制の怠慢を指摘する異例の展開となっている。

起訴状によると、問題の事故は2001年9月9日深夜に発生している。当時18歳だった被告はクルマを無免許運転し、速度超過が発端となって運転操作を誤り、道路脇の山林に突っ込んで立ち木に激突。直後に対向車線側に弾き飛ばされ、ここを順走していた対向車にも衝突した。この事故で1人が死亡、7人が重軽傷を負った。

被告は当時少年だったことから、2002年8月に業務上過失致死傷罪で福岡家裁に送致。その後「刑事処分相当」と判断され、2003年1月に福岡地検に逆送された。ところが被告は別の盗難事件で中等少年院に送られ、事故に関して起訴されたのは逆送から13カ月が経過した2004年2月で、被告はすでに成人となってからだった。

7日に行われた判決公判で、福岡地裁の平島正道裁判官は「逆送を受けた2003年1月当時に事件を担当した副検事は異動を3カ月後に控えており、手持ちの担当事件の処理を優先。少年の事件については必要な補充捜査を行わず、事件の捜査を事実上放置した」と指摘した。

弁護側はこれまで「事件がもっと早く処理されていれば、少年だった被告にとって有利になる展開も考えられた。理由無き放置は公訴権の乱用にあたる」と主張していた。

裁判官は「捜査の遅れは事実であり、この件について担当の検察官は職務怠慢の誹りを免れることはできない。だが、多忙な検察官が古い順に捜査したのは不当とは言えず、捜査の遅れが公訴権の乱用にはつながらない」として、これについては認めず、被告に対して懲役2年の実刑を命じている。

《石田真一》

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