なにしろ「ベンツ・ビーエム症候群」が蔓延している日本だから、ブランドがブランドだけに説得力あり。とりあえず無理にでも納得してしまう自分に気付く。
たしかに長年じっくり腰を据えて煮詰めてきた走行感覚には感心させられる。簡単にいえば「気持ちいい」。でも、もはや『5シリーズ』に迫るほど大型化したのは疑問。いかにも『3シリーズ』らしくキュッと引き締まった魅力が薄れたのは惜しい。大きくなっても、それほど室内が広くなった感じはなく、なんだか無駄みたい。メルセデス『Cクラス』より立派に見せて勝とうって魂胆かも。
それにしては、たとえばダッシュボードの見た目の質感などにこだわるユーザーが多い日本では、ちょっと期待はずれの声が出そうだ。艶消しの黒やグレーを基調にした眺めは、機能としては満点なのだが。
パワーの余裕感なら伝統の直6を積む330iだが、4気筒の320iの素直で軽快な走行感覚のほうが本来のBMW風味をよく表現できていておすすめ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★☆☆
熊倉重春| モータージャーナリスト
東京・焼け野原の戦後第一期生。25年間クルマ雑誌に勤めて何でもやったので、フリーのジャーナリストになった今でも何でもやる。いや、クルマのことなら何でも首を突っ込みたがる。今最大の関心事はエネルギー問題。