バイク衝突事故、追跡していたパトカーの責任は認めず

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1999年9月、埼玉県美里町内の県道で、集団暴走を行っていた暴走族グループを取り締まり中のパトカーが別のバイクと衝突し、乗っていた17歳の少年2人が死亡した事故は警察の過失が原因として、遺族側が警察を相手に提訴していた民事訴訟の判決が16日、さいたま地裁で開かれた。裁判所は遺族側の請求を棄却している。

問題の事故は1999年9月11日の午後11時30分ごろに発生している。埼玉県美里町甘粕付近の県道で、集団暴走を行っていた暴走族グループの追跡を行っていたパトカーが、17歳の少年2人が乗ったバイクと衝突。バイクはコントロールを失い、道路右側にあるコンクリート製のバス待合室に激突。少年2人はそのまま路上に放出され、収容した病院で死亡している。

警察側は「このバイクも暴走族の一味で、右側から強引にパトカーを追い越そうとした際に衝突した」としたが、2少年の遺族は「暴走族とは関係が無く、追跡中にたまたま現場を通り掛かったことから誤認された」と主張。警察が当初から事故を隠蔽するような言動を繰り返したことや、救護義務を怠ったまま追跡を継続したことに問題があるとして、約8500万円の損害賠償を求め、埼玉県警(埼玉県)を相手に民事訴訟を起こした。

16日に行われた判決で、さいたま地裁の石原直樹裁判長は、当時このパトカーがバイク数台の追跡を行っていたことを認めた上で、事故の直接原因となったパトカーの対向車線側回避は「集団暴走を行っていたうちの1台が幅寄せ接近してきたため」と位置づけた。2少年が乗ったバイクとはこの直後に衝突しているが、これについて裁判長は「2少年のバイクはパトカーに追跡されていたのではなく、パトカーを右方から強引に追い越そうとしていた」と判断。

2少年のバイクが進行してきた際には、パトカーを運転していた警察官の注意は左側から接近する幅寄せ車両に注視されていたとして、「対向車線を走行していたパトカーに対し、交通法規に違反してまで右側から追い越そうとする車両を予想して後方確認するような注意義務はなく、右方での衝突に関してパトカーに乗務していた警察官の過失はなかった」と判断。遺族側の請求を棄却した。

《石田真一》

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