【ロサンゼルスモーターショー06】内向きな基調演説、ビッグ3凋落を反映?

自動車 ニューモデル モーターショー
【ロサンゼルスモーターショー06】内向きな基調演説、ビッグ3凋落を反映?
【ロサンゼルスモーターショー06】内向きな基調演説、ビッグ3凋落を反映? 全 3 枚 拡大写真

長年、年初一番乗りのオートショーの地位を保っていたLAオートショー(ロサンゼルモーターショー)だが、1月の開催は今回が最後。次回からは年内11月の開催となり、デトロイトとのバッティングによるコンセプト、ワールドデビューカーの少なさがカバーされることが期待されている。

その、1月開催としては最後となる今回のLAオートショーのオープニング、基調演説を行ったのは、フォードのマーク・フィールズ氏(取締役副社長兼アメリカ地域社長)。しかしその内容は明るさとはほど遠いものだった。

まずフィールズ氏は、現在のアメリカンメーカーが「下り坂」にあることを率直に認め、「ビッグ3という概念を捨て、ヨーロッパやアジアのメーカーを入れたビッグ6としてアメリカ市場を考えて行く必要がある」と説明した。ビッグ6には具体的にどのメーカーが入るのかは言及しなかったが、フォードがトヨタの台頭を強く意識しているのは明らかだ。

このように競争がグローバル化する中で、フォードはどこに重点を置いて業績の回復を目指すのか? それは「顧客重視の製品作りという姿勢」である、とフィールズ氏は強調する。
フォードが、アメリカで55%のシェアを占めるビッグ3の製品購入者層に向けて行った調査により、消費者が何を求めているのが明らかになった、とフィールズ氏は言う。

特にフォードというブランドが力を入れる3本柱は、「デザイン、セーフティ、環境に優しい新技術」である。しかしそれだけでは顧客にアピールするのに十分ではない。そこでフォードが新機軸として打ち出しているのが、「ボールド(大胆)、アメリカン、イノベーティブ(技術革新)」なのだという。

「アメリカの顧客は、心の中ではアメリカ製品の復活を願っている。トヨタは現地生産へのシフトから『アメリカンブランド』であると宣伝しているが、やはりアメリカ人にとってトヨタはあくまで『日本のメーカー』なのだ。アメリカ人が求める大胆でアメリカンテイストを感じさせるクルマを作れば、必ずアメリカの消費者に受け入れられる」

そのために、顧客のニーズにより密接につながり、それに応えて行く事が重要だ、とフィールズ氏は語った。

フォードの戦略は、

(1)SUVからCUVへのシフト。2005年、初めてCUV:クロスオーバーの売り上げがSUVを上回った。これからのユーザーは、より小回りが利いて遊び心があり、かつ燃費も優れたクロスオーバーを求めている。

(2)ミッドサイズセダンもデザインが大胆でアメリカンテイストがあれば受け入れられる。フォード『フュージョン』の成功はその一例である。

(3)小型車の台頭。小型でもデザインが大胆なものは、特に若い層のハートを惹き付ける。フォードはこのBカーセグメントのメジャープレイヤーを目指す。

というものだ。

アップル、モトローラというアメリカの企業は、かつて存続の危機にさらされたが、新しいアイデア、大胆なデザインによって復活を遂げた。フォードも、同様に今後の復活が十分に期待できる。

しかし国際的なショーであるLAオートショーで、かつてこれほど内向きな基調演説があっただろうか。グローバルな視野どころか、アメリカ市場でいかにシェアを取り戻すか、ということに論点が集中している。アメリカ人が好むボールドなデザイン、という言葉が繰り返し出て来たが、ヨーロッパ、アジアと細分化するマーケットの中でのフォードのプレゼンス、世界戦略が見えて来ない。

アメリカの自動車メーカーが持つ危機感は相当なものだ、と改めて認識させられる基調演説だった。

LAオートショー2006は4日のメディアデイで開幕、一般公開は6日から15日まで、ロサンゼルス・コンベンションセンターで開催。

《Sachiko Hijikata, US editor》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  3. “プチカスタム”でサマードライブの楽しさをブーストアップ![特選カーアクセサリー名鑑]
  4. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
  5. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る