イモビライザーのあるクルマも盗まれる…今度は高裁が判断

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高度なイモビライザーが装着されていることを理由に「クルマは盗めない」として保険金の支払いを拒んだ保険会社に対し、車両保険金の支払いを求めた民事訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁で開かれた。裁判所は一審の判決を取り消し、保険会社に約400万円の支払いを命じる判決を言い渡している。

この裁判は兵庫県尼崎市内に在住する44歳の女性が起こしていたもの。女性の所有するベンツ製の高級乗用車は2003年11月29日午後から翌30日未明に掛けての時間帯に盗難被害に遭った。

女性は契約をしていた損害保険会社に対して車両保険金の支払いを求めたが、損保側は「盗まれたクルマには“IFZ”という燃料噴射システムと直結した高度な盗難防止装置が装着されており、盗難は不可能」と判断。さらには「自宅敷地内の駐車場から盗まれている」として保険金の支払いを拒否した。

女性は保険金支払いを求めて民事訴訟を起こしたが、一審の神戸地裁尼崎支部は原告側が「盗難被害だった」と立証できなかったことから損保側の主張を認めた。これを不服とした女性が大阪高裁に控訴していた。

27日に開かれた控訴審判決で、大阪高裁の矢延正平裁判長は争点となっていた立証責任については原告側(保険金の請求者側)にあるという従前の判断を示したが、その一方で「実際には目撃者が存在したり、犯人が逮捕されないことには立証が極めて困難である」とも認め、警察が盗難届を受理している今回のようなケースでは「損保側が“盗難でないこと”を立証する必要がある」とした。さらに裁判長は「プロの窃盗団による犯行であることも否定できない」、「盗難を否定する反証もない」と判断。損保側に約400万円の支払いを行うように命じた。

今回の被告となった損保会社はイモビライザー装着車両の場合には保険料を割り引くサービスを他社に先駆けて2002年から行っており、それによって客を集めていたという背景もある。

「盗まれにくいクルマ」は保険会社にとっても魅力的だが、どんなに高度なイモビライザーが装着されたとしても、必ずそれを破る人間は現れる。同種の裁判は全国で相次いでいるが、今回は高裁判例となるだけに、他の裁判にも影響を与えることは間違いない。

《石田真一》

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