検察の鑑定に疑義…ひき逃げで無罪判決

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2001年3月、兵庫県浜坂町(現在の新温泉町)内で、新聞配達を行っていた女性を除雪車ではねて死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた56歳の男性に対する判決公判が3日、神戸地裁で開かれた。裁判所は無罪を言い渡している。

問題の事故は2001年3月5日に発生している。浜坂町(当時)の町道で、新聞配達を行っていた73歳の女性が路上に倒れているのが発見された。女性はクルマにはねられたものとみられ、収容先の病院で間もなく死亡した。警察では現場付近で除雪作業を行っていた男性が除雪車で女性をはねた可能性が高いとして、同年3月20日に業務上過失致死や道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で逮捕した。

しかし、事故当夜に行われた車両検分では除雪車から血痕が検出されず、逮捕された男性も「身に覚えがない」と完全に否定。その後の公判でも一貫して無罪を主張していた。

3日に開かれた判決公判で、神戸地裁の佐野哲生裁判長は、検察側が証拠としていた被害女性の着衣に残っていたチェーンなどの痕跡について「信用性に重大な疑義がある」として否定した。

さらに裁判長は「除雪車の通過から発見までには13分間あり、他のクルマが通行した可能性を否定できない」、「大型車が関係したものであれば、被害者の体に生じるであろう骨折などの損傷がない」、「事故当夜に行った検証でも痕跡が確認されない」などの理由を掲げ、「検察側の鑑定には重大な疑義があるとしかいえない」として、犯人ありきで始まった捜査を暗に批判した。その上で裁判長は「被告の態度は真摯で、これまでの供述に不自然な点はない」と判断し、被告に無罪を言い渡した。

《石田真一》

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