【ホンダ ゼスト 発表】デザイナーはつらかったかも

自動車 ニューモデル 新型車
【ホンダ ゼスト 発表】デザイナーはつらかったかも
【ホンダ ゼスト 発表】デザイナーはつらかったかも 全 5 枚 拡大写真

ホンダの新型軽自動車『ゼスト』のデザインのベースとなっているのは、04年東京モーターショーに出品したコンセプトカー『PV』だが、一方でディテールを見ると、他メーカーのライバルモデルのデザインを連想させる部分も少なくない。

たとえばフロントマスクのヘッドランプまわりはダイハツの旧型『ムーヴ』や同『MAX』に似ている。Aピラーのデザイン処理はスズキ『ワゴンR』、ウインドウグラフィックはスバル『プレオ』と言った具合だ。これはゼストを見た多くのユーザーが感じることだろう。ホンダとしてはちょっと珍しい現象である。

開発を指揮した本田技術研究所の五十嵐則夫主任研究員は、「良くも悪くも、ホンダは独自性を売りにするメーカーというイメージがありますが、私はゼストを開発するにあたり、そんなに独自性を出すことにこだわらなかった。狙ったのは“万人受け”です」と言い切る。

「デザインについても、他社のモデルにわざと似せたということはありませんが、他社に似せないようにするという意識もありませんでした。こだわったのは、どういうデザインがユーザーに受けるかということ」

「フロントマスクも最初はもっと違うデザインだったのですが、男性ユーザー向けに『もっと威張った雰囲気の、精悍で恐そうな顔つきにしてくれ』とデザイナーに要望しました。デザイナーにとっては辛いこともあったでしょう」(五十嵐氏)

軽自動車としては異例なほど分厚く、骨格のしっかりしたシート、内外装の質感の高さ、シャーシ性能の高さなど、ハードウェアの充実ぶりが際立っているゼスト。一方で、「特色を出し過ぎると“イヤ”と思われる部分が出てくる。それは避けた」(五十嵐氏)といった、アクを取り除くモノづくりは、従来のホンダの路線とはかなり異なる。

このゼスト、軽自動車販売のてこ入れのための一発技なのか、ホンダのクルマ作りの転換を象徴するモデルなのか、ユーザーにとっても興味の湧くところだろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. セリカに次ぐ「リフトバック」採用のカローラは、50年経ってもスタイリッシュ【懐かしのカーカタログ】
  4. シートに座ると自動で送風開始、取り付け簡単「クールカーシート」2モデルが発売
  5. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
ランキングをもっと見る