【ホンダ ビーチクリーナー】試行錯誤の上でカタチに

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【ホンダ ビーチクリーナー】試行錯誤の上でカタチに
【ホンダ ビーチクリーナー】試行錯誤の上でカタチに 全 3 枚 拡大写真

砂浜のゴミを効率的に取り除く清掃装置、ホンダ『ビーチクリーナー』システム(5月10日発表)。製作のプランが持ち上がったのは、2000年のことだった。

「ちょうど2000年の冬のことだったんですが、ふとした機会にゴミが散乱した海岸を目にしたんですよ。私は海が好きなものですから、何とかこれをキレイにしてやろうと思い、有志を募って器具の研究を始めたんです」

開発を担当した二輪開発センターLPLの新井正吉氏は、ビーチクリーナー作りに乗り出したきっかけをこう語った。新井氏の本業は、ダートはもちろんちょっとした岩場や泥濘路も走れるATVの開発。そのかたわら、自主的な先行開発活動というかたちでビーチクリーナーの研究を始めた。

最初に考えたのは、熊手のようにゴミをかき集める器具。「簡単に見えますが、実際にはちゃんとゴミを引っかけられるようにするために散々試行錯誤しました。試作のときは、今となっては見るに堪えないものも山ほど作ってしまいました」(新井氏)

その熊手役は「サンドレーキ」として形になっていったが、熊手ではロープやビニールなど、引っかかりやすいものしか集めることができない。何とかそのほかの小さいゴミも集められないかと考えていた。新しい発想を得たのは、砂の上でサンドレーキを滑走させている記録映像を見たときだった。

「20km/hくらいのときに、サンドレーキが砂を上方に巻き上げているようすが映っていたんです。それを見たとき、砂をゴミごと巻き上げて、網でゴミだけをふるい取ってやればいいのではないかと思ったんです」(新井氏)

砂を巻き上げて砂に埋まった細かいゴミを回収する「サンドスクリーン」を考案した。その結果、ライターや吸い殻など、かき集めるだけでは取りきれなかったゴミを効果的に回収することができるようになったという。

「ATV牽引式のビーチクリーナーは、浜への打撃が少ないのもメリットのひとつです。(車重に対してタイヤが太い)ATVの接地圧は非常に低く、人の足裏程度しかありません。海岸によっては20cmくらいの深さのところにウミガメの卵が埋まってたりするのですが、ATVならその上を通っても卵を傷めません。またビーチクリーナーも最大で深さ10cmくらいまでしか到達しません」(新井氏)

ホンダの「ビーチクリーンキャラバン」による海岸清掃は5月16日に行なわれた片瀬海岸を皮切りに、今年度だけで全国20カ所で開催予定だが、新井氏もそのボランティア活動に参加する。新井氏も「海岸をキレイにして、裸足の気持ちよさを知ってもらえると思うと楽しみ」と意欲満々だ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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