2005年8月、奈良県桜井市で走行中の原付バイクに軽トラックを故意に衝突させ、3人を死傷させたとして殺人と殺人未遂の罪に問われた当時19歳の男に対する論告求刑公判が26日、奈良地裁(奥田哲也裁判長)で行われた。検察側は懲役20年を求刑している。
問題の事件は2005年8月5日夜に発生している。桜井市三輪付近の県道を走行中の原付バイク2台に対し、後方から接近してきた軽トラックが追突されて転倒。乗っていた3人が路上に投げ出され、17歳の男性が約40日後に死亡、他の2人が骨折などの重軽傷を負った。
事故から5日後に19歳の少年が逮捕されたが、取り調べの過程で故意に衝突させたことが発覚。殺意があったものと認定され、殺人未遂容疑で逮捕。家裁に送致されたものの「刑事処分相当」と判断され、地検へ逆送致されていた。
26日に行われた論告求刑公判で、検察側は「軽トラックは衝突の直前、約80km/hまで加速していた」と指摘。「速度差がある状況で追突し、バイクが転倒した場合には運転者などが死傷することは十分に認識できた。未必の殺意の中でも確定的殺意に近かかった」として、殺人と殺人罪で懲役20年を求めた。これに対して弁護側は「怖がらせることが目的であって殺意はなかった」として、傷害致死罪の適用を求めている。