【トヨタ リコール問題】最初は車両不具合で片付けられた

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重大な事故につながる部品の欠陥を看過し、結果的にリコール時期を遅らせたとして、熊本県警は11日、トヨタ自動車の品質保証部長3人(現職1人、経験者2人)を業務上過失傷害容疑で書類送検した。「欠陥の看過」とはどういうことなのか。事故の経緯から改めて振り返ってみよう。

問題の事故は2004年8月12日の午後6時30分ごろに発生している。熊本県菊池市隈府高野瀬付近の県道で、21歳(当時)の男性が運転するRV=トヨタ『ハイラックスサーフ』が左カーブを曲がりきることができずに対向車線側に逸脱。対向車線を順走していた乗用車と正面衝突した。乗用車は中破し、乗っていた5人が打撲やむち打ちなどの重軽傷を負った。

RVを運転していた男性は業務上過失傷害容疑で検挙されたが、事故の捜査を担当した熊本県警・菊池署の交通捜査課員に対しては「床下から異音がした直後からハンドルが操作できなくなった」、「ハンドルが動かないまま対向車線に飛び出した。ブレーキを掛けたが間に合わずに衝突した」などと供述。運転上の不注意ではなく、車両側に問題が生じていたと主張した。

事故を起こしたクルマは修理工場に持ち込まれていたが、修理箇所のピックアップを工場側が進めていた際に、ハンドル操舵を前輪タイヤに伝達する「リレーロッド」と呼ばれる部品が破断していたことが判明した。この部品が破損すると運転席でハンドルを操作しても空回りする状態となり、その動きはタイヤに伝わらなくなる。そしてこの部品が破損していたということで、運転していた男性の「床下から異音がした」、「直後にハンドルが切れなくなった」という供述が裏付けられることとなった。

だが、事故を起こしたクルマは1993年11月製。製造後11年が経過していた古いクルマであり、整備不良などが真っ先に疑われたという。また、部品が破断していたことから、この当時は「経年劣化による金属疲労」という判断がなされていた。事故原因についても「車両不具合による対向車線への飛び出し」として処理されたという。(つづく)

《石田真一》

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