昨年から続く、小型トラックのハイブリッド化のリリースラッシュにおいて、トリを取る形で登場したのが、三菱ふそうトラック・バスが5日発表した『キャンター エコ ハイブリッド』だ。後発の強みもあってか、その内容はじつに興味溢れるものとなっている。
ハイブリッド車の走りに大きく影響するのはもちろんモーターだ。キャンター エコ ハイブリッドの場合、専用モーターを新たに開発した。まず注目なのは、その薄さ。発表されたばかりのキャンター エコ ハイブリッドのトランスミッションは、INOMAT-IIと呼ばれる機械式自動変速なのだが、MTをベースにしているので乾式クラッチも装着されている。
構造的にはエンジン−クラッチ−ミッションという並びになり、これはディーゼルモデルのMT車と同じ配列。このクラッチとミッションの間にモーターがはさみ込まれる形で装着され、さらにエンジンとモーターの間にクラッチが来ている点にも注目したい。これにより、エンジンとモーターの動きを分離することができ、結果としてモーターのみでの走行が可能となっているわけだ。
じつは他社のシステムではモーターのみの走行はできないのだが、もちろんモーターだけで走ったほうが燃費には有利に働く。またミキサーなどの動力を取り出す場合は、モーターの横にギヤを追加するだけでいいので、大げさな構造変更などは不要となるのも、トラックならではのメリットのひとつ。
従来モデルと比べて、全体のサイズアップにも影響しておらず、車体構造を変えることなく、ハイブリッド化に成功していて、結果としてコスト減にもつながる。肝心のモーター自体の出力も35kW(47ps)/400Nm(41kgm)と、小型トラックの発進にはじゅうぶんなスペックが確保されている。