【池原照雄の単眼複眼】「軽高登低」で折り返した国内市場

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【池原照雄の単眼複眼】「軽高登低」で折り返した国内市場
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大台突破が見えてきたが…

今年上期(1−6月)の国内新車市場は「軽高登低」が一段と際立った。

軽自動車が前年同期比5%増の107万台で、上期としては過去最高になる一方、登録車は4%減の199万台。上期では実に23年ぶりの200万台割れとなった。軽は年間で初めて200万台を突破する勢いとなっているものの、販売会社名義の届け出による「作られた市場」への懸念も強まっている。

軽自動車は1998年10月の規格拡大を受け、翌99年からは180万台を超える安定市場となった。2004年からは2年連続して過去最高を更新、今年は200万台という「大台」に届く勢いで前半を折り返している。

◆室内空間広げた第2世代モデル

軽の売れ筋モデルの価格は、登録車のスモールカークラス(1000−1300cc)とはそんなに変わらない。むしろ、装備が充実した軽の方が割高な場合もある。燃費性能も小さいからといって軽が勝っているわけでもなく、登録車のスモールカーとほぼ同等だ。

規格拡大以来、軽の販売好調が続くのは税制の優位性に加え、室内空間も登録車のスモールカーに負けないくらい改善されてきたことが大きい。98年の規格拡大は「安全対策」という大義名分があったため、全長10cm・全幅8cmという規格拡大シロは室内空間の改善には、ほとんど使えなかった。

しかし、03年当時から投入が本格化した規格拡大後の第2世代モデルでは、室内空間がより広く取れるようになった。衝突安全に対する車体設計上の解析技術の向上や高張力鋼板の使用などが、同じ規格のなかでもより広い室内空間を可能としている。

◆まだ遠い自動車市場のデフレ脱却?

最近では主婦を中心とする女性層だけでなく、夫婦2人になったリタイア世代にも軽人気が広がっている。ディーラーの店頭で、居住空間の広さに驚いているシルバー世代の夫婦を何度か目撃したことがある。

今年で発売40周年の『カローラ』の登場時からマイカーを保有し、クルマを知り尽くしたリタイア世代が、車室の広さ維持費の安さに着目、近場の用足しは軽で充分という価値観になっているようだ。

ただし、最近の過熱ぶりには大手2社のトップ争いによって「作られた市場」と、顔をしかめる軽メーカー首脳もいる。自社届け出が横行しているというわけだ。実需に厚化粧するような「新古車」の大量発生は、国内自動車市場のデフレ脱却をより困難にする。

《池原照雄》

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