突進する盗難車に警官発砲、容疑者死亡

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15日朝、大阪府堺市中区内の府道で、パトカーに体当たりを繰り返してきた盗難車に対して、警官2人が拳銃5発を発砲。これが運転していた男に命中し、男が死亡する事件が起きた。助手席に同乗していた若い男は逃走しており、警察は行方を追っている。

大阪府警・泉北署によると、事件が起きたのは午前8時30分ごろ。これより30分前の午前8時ごろ、警備会社から警察に対して「盗難届の出ているRVに装着した位置情報装置(GPS)の電波をキャッチした」との通報が寄せられた。これを受けて同署の地域課員が出動し、堺市南区和田東付近の路上に止まっているRVを確認。職務質問しようと接近したところ、クルマは急発進。そのまま逃走を開始した。

パトカーは追走したが、RVは一方通行路を逆走するなどの無謀運転を繰り返し、約30分の間に一般車両9台と次々に衝突した。RVはさらに逃げ続けたが、約2km離れた堺市中区東八田付近の交差点で信号待ちのクルマに行く手を阻まれた。パトカーはRVの後方に停車して逃走を阻止しようとしたが、少なくとも4回に渡ってバックでの衝突を繰り返した。

パトカーに乗っていた32歳の巡査部長と、30歳の巡査長は車外に逃げ出したが、RVが2人に向かって突進する構えを見せたため、「撃つぞ」と威嚇した後に拳銃5発を車体に向けて直接発砲した。弾はRVを運転していた男の腹部に命中。男は近くの病院に収容されたが、間もなく死亡した。また、助手席に同乗していた20歳代の男は警官が発砲前にクルマを降りて徒歩で逃走している。

死亡していた男の血液からは覚せい剤反応を検出。RVの車内には未使用の注射器が数本残されており、事件当時に男が覚せい剤を使用していた可能性は極めて高いとみられている。

警察では「警官が危険に晒された」として発砲の正当性を主張しているが、当時は行く手を阻まれて身動きの取れなくなった車両が数台おり、一般市民を巻き込む可能性があったとも考えられることから、今後の議論を呼ぶことになりそうだ。

《石田真一》

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