今年6月、東京都新宿区内の都道で、駐車違反の取り締まりを行っていた民間の駐車監視員に暴行を加えたとして、公務執行妨害の罪に問われていた45歳の男に対する公判が26日、東京地裁で開かれた。裁判所は執行猶予付きの有罪を言い渡した。
問題の事件は6月16日の午後1時ごろに発生した。新宿区西新宿8丁目付近の都道(通称:青梅街道)で、警察から委託を受けた民間の駐車監視員2人が路上駐車の取り締まりを行っていたところ、近くの店から出てきた男が「違反を取り消せ」と迫ってきた。2人はこれを拒否したが、激怒した男が平手で2人の頭を1回ずつ殴打。そのまま逃走した。
だが、監視員が駐車違反の確認標章の発行を済ませていたことから、クルマのナンバーが記録されており、警視庁・新宿署は府中市内に在住する45歳の男が容疑に関与したと断定。公務執行妨害容疑で逮捕した。警察での調べに対しては「違反を取り消さなかったので腹が立った」と供述。同様の事件が相次ぐ可能性があったことや、行為が悪質として、検察は通常の起訴に踏み切っていた。
26日に東京地裁で開かれた公判で、被告の男は起訴事実を全面的に認めた。検察側は「駐車監視員の職務執行が消極的にならないよう、一般予防の面からも厳罰が必要」と主張した。続いて村瀬均裁判官が被告に対して「取り締まりを行っていたのが警察官でも同様の行動を取ったか」と質問。被告は「していないと思う」と答えている。公判はこの日で終わり、裁判所は男に対して懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。