【レクサス・ハイブリッド 考察】“燃費リッチ”にも“出力リッチ”にも

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【レクサス・ハイブリッド 考察】“燃費リッチ”にも“出力リッチ”にも
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こうして生まれた世界初の量産ハイブリッドカーが『プリウス』。トヨタでは既存のエンジン車に対するアドバンテージを示すため、その誕生に際してはまず燃費性能にフォーカスしたプロモーション活動を行なった。

初期のプリウスが実現させた28km/リッターという10・15モード燃費は、同等の動力性能を備える当時のカローラの1.5リッターモデルのデータに対しておよそ2倍に相当するもの。もちろんそんな目標達成のため、エンジンのチューニングやモーターの出力特性にも“燃費重視”の作り込みが施された。

すなわち、初代プリウスのハイブリッドシステムは、そこに採用のハードウェアもプロモーション戦略も、明らかに「既存のエンジンが持つ燃費面でのウイークポイントを克服するタイプ」であったというわけだ。

そんな戦略面の効果もあり、ハイブリッドシステムにはたちまち「燃費によいシステム」というイメージができ上がった。プリウス登場に触発された(?)ホンダからも燃費性能に高さに的を絞ったハイブリッドカー『インサイト』が発売され、今度はそれを受けるようにプリウスにも改良が施されてモード燃費がさらに向上…と、“ハイブリッド=低燃費”という図式は時間が経つにつれていよいよ濃厚になったのだ。

いっぽう、そんな“燃費リッチ”のスタンスで開発されたハイブリッドカーたちに対し、「ネンピはいいけど加速がね…」とネガティブな声も聞かれるようになってきた。そうした声を封じ込めるかのように、それ以前のハイブリッドモデルたちとは一線を画する強力な加速力を引っ提げての登場となったのが『ハリアー・ハイブリッド』『クルーガー・ハイブリッド』だ。

「エンジンとモーターのツインパワー」なるキャッチフレーズやその両者の合計発生出力を表示する“パワーメーター”の採用などからも明らかなように、2005年春に発売されたこのモデルに搭載のハイブリッドシステムは、それ以前のものとはハッキリと考え方の異なる“出力リッチ”型という特性の持ち主。すなわち、電流を流せば即座に太いトルクを発生する電気モーターならではの特性を生かし、「既存のエンジンが持つ出力面でのウイークポイントを克服するタイプ」とされたのがこの兄弟車に採用されたシステムだ。

実際、高回転・高出力型のモーターにリダクションギアを組み合わせるという初のメカニズムを採用したこのシステムでは、「そのセッティングは“燃費最重視型”にはしていない」と開発担当エンジニア氏は告白する。徹底した燃費向上というスタンスはひとまず脇に置き、電気モーターも加えたふたつの動力源がそれまでのエンジン車では成し得ない強力な動力性能も発揮できるというハイブリッドカーが備える新たな可能性を前面に押し出すイメージ戦略に打って出たのが、このハリアー/クルーガー・ハイブリッドなのだ。

こうして、“燃費リッチ”と“出力リッチ”という搭載車両のキャラクターに合わせた自在な味付けにメドをつけたトヨタが次に目指したのが、「ハイブリッドシステムを単なるエンジン以上にプレミアムな存在と位置づけよう」という、もはや他メーカーには真似のできないイメージ戦略。そう、これこそがレクサスブランドが目論む各トップ・グレード車のハイブリッド化戦略だ。そんな戦略の第一弾としてリリースされたのが、『GS』に設定された「450h」である。(つづく)

《河村康彦》

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