【神尾寿のアンプラグド】日産新カーウイングス、プローブシステム導入へ

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見えた「次世代カーウイングス」の姿

15日、日産自動車が神奈川県でのITS実証実験である「SKYプロジェクト」を10月から開始すると発表した。ITSの諸機能・諸サービスを実際の公道上で、かつユーザーも参加する形で実証実験を行い、大規模なシステムの効果検証を行うというものだ。

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主な実証実験としては、(1)出合頭の事故低減を目的にした注意喚起の情報提供、(2)スクールゾーンなどでの速度超過時の情報提供、(3)渋滞解消のためのプローブ(フローティング)情報による経路誘導などが行われる。

ITSの諸機能を交通インフラと連携させて公道上に“導入”するのは、今後の本格普及を考える上で欠かせない取り組みだ。一般ドライバーが受け入れやすい運転支援の在り方やマナー、マン・マシン・インターフェイスを模索する上でも非常に意義深く、日産が得られるノウハウは貴重だ。実証事件にともなうコストやリスクを厭わず、これほど大規模なITS社会実験に踏み切った同社の姿勢・決断は高く評価できるだろう。

◆通信料の「負担感」を考慮した「実験」

SKYプロジェクトのメニューは多岐に及ぶが、カーナビゲーションサービスの視点で興味深いのは、クルマから情報を取得する「プローブカー(フローティングカー)」実験だ。この分野では本田技研工業の「インターナビ」がすでに商用サービスを開始しており、日産やトヨタなど他社は商用サービス化やノウハウの蓄積で水をあけられている。

SKYプロジェクトにおけるプローブカーシステムの特徴は、同プロジェクトに参加するカーウイングスユーザー約1万人のほかに、タクシー約1000台ほどからもプローブ情報を取得する点である。カーウイングスユーザーの情報収集は日産が主体となって行い、タクシーのプローブ情報についてはNTTドコモが「タクシープローブ収集サーバー」を構築してデータ収集にあたる。

また、情報収集の通信料金については、SKYプロジェクト参加のカーウイングスメンバーはデータ送信時のFOMA通信料が無料になる特別措置が用意される。これは同プロジェクト向けに開発されたデータ圧縮技術が奏功し、実現したという。一方、タクシープローブについては業務用無線のデジタルMCAが通信インフラとして使われるため、通信料は発生しない。

SKYプロジェクトは実証実験であるが、プローブカーやフローティングカーの実現で課題になるユーザーの「通信料の負担感」の減殺についてしっかりと考えられている。

◆世界初、リアルタイム推定補完技術

プローブ情報は、カーウイングスが持つ「最速ルート」のシステムに組み合わせて使われる。リアルタイムのプローブ情報の取得・利用のほか、ホンダのインターナビと同様に過去の取得情報を利用する蓄積統計型のプローブ情報活用のシステムが用意されている。

プローブ情報の取得は1秒単位で車載器に行い、センターへの送信は標準設定で5分間隔だ。データ取得もユーザーの設定によるが、最短で5分間隔に設定できる。これほど短いサイクルでの情報取得・送信が可能になったのも、データ圧縮技術の確立により、ユーザーの通信料負担を軽減できたからである。

さらに日産のプローブシステム独自の機能として、プローブ情報を取得できた複数の道路情報をつなぎ合わせることで、「VICS/プローブ情報のどちらもデータが取得できていない」道路の状況について渋滞の発生状況を推測・補完する「リアルタイム推定補完技術」を導入した。これは世界初の技術である。

日産によると、リアルタイム推定補完技術の実現により、断片的なプローブ情報やVICS情報だけでも、ルート全域における確度の高い最速ルートの算出が可能になったという。

「最終的には、日産のカーナビが誘導対象にしているすべての道路でプローブ情報を取得し、(プローブ情報を活用した)最速ルート検索ができるようにします」(技術説明員)

◆SKYのプローブは商用化前提

SKYプロジェクトのプローブシステムは、商用化を前提にITS実証実験向けの機能強化が施されたものだ。そして、これは「近日中に発表される次世代カーウイングスに導入される予定」(技術説明員)だという。

具体的には、SKYプロジェクト向けのプローブカーシステムは渋滞関連情報以外の様々なデータも取得しており、次世代カーウイングスでは渋滞関連情報がデータ取得の対象になる。また、SKYプロジェクトではFOMAのデータ送信料金が無料だが、次世代カーウイングスでの料金体系は未定だという。しかし、今回SKYプロジェクトで導入される「データ圧縮技術」や世界初の「リアルタイム推定補完技術」は、次世代カーウイングスにも採用される模様だ。

今回、明かされたのはプローブカーの部分だけだが、そこから垣間見える姿だけでも、次世代カーウイングスへの期待が高まる。日産のITS、テレマティクスの動向に今後も注目である。

《神尾寿》

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