旧型にはついていなかった『A6』の名が加わる。旧型もA6ベースには違いなかったが、あえてそれを名乗らず、「アウディを代表するオールロード・クワトロ」とでもいいたげなユニークさがあった。そんなコンセプトの“薄まりかた”は、乗った印象とも符号する。
乗車感覚は、ちょっと車高の高い四駆のアウディ『A6アバント』である。よりヘビーデューティな悪路踏破能力のおかげで、ただのA6アバント・クワトロより、さらに奥へ入っていけるのが特徴だが、乗り心地などの快適性能はほとんど犠牲になっていない。その点では、ボルボ『V70』に対する『XC70』より差が少ない。旧型オールロード・クワトロと比べても、明確にコンフォート志向を強めた。それゆえに、性格があいまいになってしまった印象は拭えない。
パワーはV6のほうでもじゅうぶん。旧型は、自動車マスコミ関係者のなかにもオーナーや、欲しがっている人が多かったが、こんどはどうなんでしょう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★☆☆
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。