【伊東大厚のトラフィック計量学】e燃費データでみるマイカーの燃費 その3

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【伊東大厚のトラフィック計量学】e燃費データでみるマイカーの燃費 その3
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燃費の良い県悪い県

図1は、都道府県別の実走行燃費平均値(総走行距離を総給油量で割ったもの、2003年度値)をプロットしたものだ。大都市を抱える東京、神奈川、大阪、愛知などは燃費が悪く、地方は概して良い傾向にある。

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◆都市内走行や渋滞の影響は10%程度

図2は、横軸に「混雑時旅行速度」、縦軸に図1の実走行燃費を10・15モード燃費で割った「燃費の相対値」をプロットしたものだ。

混雑時旅行速度は、平日の朝夕ラッシュ時間帯に、一定の距離を自動車で何回か走った平均値で、スムーズに移動できるかの指標、と考えてよい。

10・15モード燃費は、決められた走り方で測った燃費で、自動車の燃費性能を示す。実走行燃費を10・15モード燃費で割ったのは、e燃費会員の保有車の重量や性能の違いによる影響を排除したかったためだ。

混雑時旅行速度30km/h以下で、燃費の相対値は0.74前後に低下する。沖縄県以外は三大都市圏だ。その他は、混雑時旅行速度35km/h、相対値0.80前後が多く、最も良い県が0.85である。都市内走行や渋滞が多くなると、燃費は平均5−10%低下すると見るべきだろう。

◆地方の燃費悪化要因は?

沖縄県は、残念ながら、燃費の相対値ワーストワンだ。混雑時旅行速度が低いことに加え、亜熱帯に位置し、高温多雨が主因だろう。

北海道も良くない。混雑時旅行速度は高いのだが、沖縄と同様、主に気候が要因だろう。暖機時間が長くかかり、ワイパーやヒーターの使用頻度も影響するのではないか。しかし、北国と呼ばれる県でも、燃費の相対値が高い県もあるので、温度や降雪量などに閾値があるのかもしれない。

◆気候に注目した対策を

自動車の燃費を決める主な要因は、(1)自動車の性能、(2)都市内走行や渋滞、(3)運転の仕方、(4)気候条件、の4つである。うち(1)−(3)には、低燃費車の開発・普及、渋滞ポイントの解消、エコドライブなど、既に対策がある。

気候も、決して無視できない影響がある。しかし、その対策は軽視されがちだ。カーエアコンやヒーターの省エネ技術など、地域ごとの気候特性に応じた対策も重視すべきだろう。

《伊東大厚》

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