レクサス『LS』は世界最高レベルの安全性能を持ったクルマと言っても決して過言ではないだろう。レクサスのクルマはどれもそうだが、乗員保護という観点においては他の追随を許さないという雰囲気がある。だが、それには「オプションをすべて装着する」という但し書きが必要だ。LSにおいてもそれは変わらない。
LSの場合、基本的な安全装備パッケージはミリ波レーダーを用いたプリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロールとなる。価格は税込みで27万3000円。
現時点ではレクサスラインナップの中でもLSにしか設定されていない後方プリクラッシュセーフティやレーン・キープ・アシスト(LKA)、低速追従機能付きレーダークルーズコントロールという、世界最高の安全性能を演出するセットは同99万7500円。
前者は全グレード対応だが、後者は最高級グレードの“Version U”にしか装着できない。
これらを付けることでLSの魅力はさらに引き立つわけだが、実際には基本的なシステムでさえ装着する人は少ないという。LSもうひとつの自慢であるマークレビンソンのオーディオシステムの装着予想が約50%なのに対し、27万円の安全装備に関しては10%未満。発表後、販売店の方にも話を聞いてみたが、「安全装備について質問をしてくるお客様の方が珍しい」のだとか。
日本人は安全に対して無頓着であり、危機意識に欠けると言われるが、大切な人を乗せるためのLSでさえこの状況というのはどうなのだろうか。1000万円近いクルマなのだから、基本的なシステムぐらいは標準装備でも良かったような気がしてならない。せっかくの装備を持ちながら、価格競争のために削ったというのであれば、それもまた情けない話だ。