フォルクスワーゲン(VW)『イオス』のルーフの、複雑な5分割機構には、いくつか有利な特長がある。まず、ルーフが3枚重ねの状態で3つのパネル曲面の凸方向はすべて同じ上向きのため、重なった状態の厚さ(高さ)を抑えることができる。
リアガラスとルーフを180度に折って収納するクルマは、パネルの凸方向がそれぞれ下と上となるので、重ねたときの厚さが大きくなる。イオスの構造は3枚重ねでありながら厚さを抑えることに成功している。ルーフ全体をトランク内に収納した場合に荷物の収納力にも差が出てくる。
また、ルーフを開閉する際の通過空間が上方に張り出さないため、天井の低いガレージでも開閉動作をすることができる。
さらに大きなメリットは、分割構造のためルーフ自体の前後長を確保でき、フロントウインドウを無理に大きくする必要がないこと。
他のクルマのような2分割ではルーフの前後長がとりにくいため、フロントウインドウを後方向に延長する必要がある。そのため、フロントウインドウ上部がドライバーの頭に迫る。ルーフ自体も小さくなるため、後席の頭部のクリアランスも確保しにくい。
イオス5分割ルーフシステムの構造は文章では伝わりにくい。ディーラーなどで現物を確認し、作動させてみるとよいだろう。