VW トゥアレグ、ボーイング747を牽引

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VW トゥアレグ、ボーイング747を牽引
VW トゥアレグ、ボーイング747を牽引 全 1 枚 拡大写真

『トゥアレグV10 TDI』が、ジャンボジェット機ボーイング『747』を牽引できるか、賭けないか? VW:フォルクスワーゲンの従業員2人が交わしたこんな会話が、実際に検証されることになった。

「トゥアレグがジャンボ機を引っぱる」イベントは去る21日、英国ロンドンから西へ60kmほど離れたダンスフォールド飛行場で開催された。

トゥアレグは牽引車両として定評があり、イギリスではキャラバンクラブの「トウカーオブザイヤー」(フルサイズ4×4部門)を2004年と2005年に獲得している。トレーラーを牽引する際の最大荷重は3500kg、リヤアクスル荷重は1640kg。

イベントではボートトレーラーの代わりに重量155トンのジャンボ機を牽引することになった。機体は英国航空をすでに退役した747-200型。エンジンは昨年あった映画撮影のためダミーに交換されていたものの、座席500人分やトイレ11カ所などの設備はそのままで、さらに燃料タンク内などには水が20トン搭載されていた。

ジャンボ機を牽引するためトゥアレグV10 TDIにはいくつかの変更が加えられたが、少数の範囲にとどまる。まず車重が増やされた。バラストとして鉄球と鉄板が積み込まれ、追加重量は4345kg、総重量は7030kgにされた。重量配分はフロントに2755kg、リヤに4275kg。

最終減速歯車(ファイナル・ディファレンシャル)は減速比のより大きなV8用に交換された(3.27→4.56)。タイヤは標準装備のミシュランだが、空気圧は4.5barに引き上げられた。トレーラーヒッチも純正型に補強用デバイスが追加された。

そしてボディは、これは露出効果を期待してのことだが、来年登場予定の新型ボディを身にまとった。そのほかは、エンジンからサスペンション、四輪駆動システムまで、すべて生産車両のまま使用された。

最大トルク(750Nm)と歯車比から計算すると、トゥアレグV10 TDIは約200トンを動かせる。が、全長70m以上、高さ19.4mもある航空機と連結された、全長4.75m、全高1.7mのこの車を実際に見ると、誰もそんな計算を信じられなかったという。しかも当日はどしゃ降りの雨と向かい風だった。

運転したのはVWのテクニシャン、ウヴェ・クリーグホフ。彼はエンジンを始動し、ATの「ドライブ」と「ロー」レシオを選択した。全12段の下から2番目だ。最初の数秒間に最大のパワーが必要だった。この牽引力学システムは、いったん転がり出せば後は楽なのだ。

最初に動いたのはタコメーターの針。そのままクリーグホフがアクセルペダルを半分まで踏み続けると、何の問題もなくトゥアレグとジャンボ機はゆっくり動き始めた。約8km/hで150mほどを走り、クリーグホフはジャンボ機と車を停止させた。

なお新型のトゥアレグにはトレーラー・スタビリゼーション機構が標準装備されている。これはトレーラー牽引時の蛇行現象を防止するものだが、ジャンボ機牽引試験では作動しなかった。速度が低かったからだ。

走行後、クリーグホフは、少々がっかりしていると述べた。「ちょっと簡単すぎた。もっと重い飛行機を貸してくれる人がいたら連絡してください」。

その後の検査で、使用されたトゥアレグに故障は認められなかった。もっともVWによると、車重70トンにも及ぶ従来型の航空機牽引車両をトゥアレグに買い換えたいというオーダーは、どこの空港からもないそうだ。

《高木啓》

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