シトロエニストのはしくれとして、拍手喝采を送りたいのは、スタイリングである。とくにリアがそうとうヘンで、カッコイイ。後ろがヘンでカッコイイのは、初代ハイドロ・シトロエン、『DS』以来の伝統である。
役人/役員車需要も当て込んだプレスティッジカーなのに、“威張り”のテイストをけっして入れないのも、シトロエン流だ。
しかし、乗ると、必ずしも拍手喝采ではない。新しいハイドロ・ニューマチック・アクティブ・サスペンションは、『CX』あたりへの先祖返りを思わせるほど、柔らかい。それはいいのだが、前:ダブルウイッシュボーン/後:マルチリンクのメカ部分に、いまひとつ剛性が足りないのか、高速道路面の継ぎ目を乗り越えると、ブルルンとフロアに揺れが残る癖が気になった。
『C5』と基本的に同じ3リッターV6では、とくに街なかでカッタルさがつきまとう。ノーズ前後左右の見当がつけにくく、狭いところでは気を使う。見るならC6、乗るなら『C5』かな。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★★☆☆
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。