【池原照雄の単眼複眼】国内シェア5割安定も…トヨタの猛攻

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【池原照雄の単眼複眼】国内シェア5割安定も…トヨタの猛攻
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収益性は改善しており、心配ない

国内登録車市場が縮むなか、トヨタ自動車(レクサスブランド含む)のシェア拡張が際立っている。2006年は販売台数を前年から1%落としたものの、登録車市場でのシェア(自販連データ)は45.2%と、初めて45%台に乗せた。今年1月も48%台と快調な滑り出しとなっており、市場の不調に反比例するように販売力の強さが目立っている。

「日本市場でも、もちろん収益はちゃんと出しているし、レクサス『LS』によって収益性は改善してきている」。6日の今期第3四半期決算発表の席上、鈴木武専務は国内でのパフォーマンスについてこう語り、「大きな心配はしていない」とも付け加えた。

第3四半期までの9カ月で純利益は1兆円に乗ったが、国内営業部門もきっちり貢献しているというわけだ。事実、06年の販売実績は2年連続で小幅マイナスとなったものの、登録車市場でのシェアは過去最高に伸ばした。

◆20年前の「T50」キャンペーンのレベルに

軽自動車の台頭が目立った過去3年の総需要(含軽市場)でのシェアも、すべて29%台と安定している。「軽高登低」と市場の中身が変わっても、トヨタは一定のパイを確保しているということになる。

“LS効果”があった昨年10、11月には49%台(登録車市場)まで伸ばし、ほぼ半数をトヨタ車が占めた。半数といえば、約20年前の「T50作戦」が思い起こされる。初の乗用車『トヨダA型』の発売50周年となる1986年10月に、乗用車市場でのシェア50%を狙ったキャンペーンだった。

当時、トヨタの乗用車シェアは44%程度だったから、極めて高いハードルだ。業界内からは「最大手が市場を乱す」との不満も噴出した。結果は53.2%。旧工・販の合併から4年余りが経過しており、合併効果を内外に誇示するキャンペーンともなった。

それから20年が経過した昨年10月は、乗用車だけに限ればシェアは51%台に乗っている。もはや、大々的なキャンペーンを打たなくても過半数が取れるまでになった。

◆市場の低迷に立ち向かう「気力」がある

販売チャンネルの再編とレクサス展開を柱とし、03年2月に発表した国内の「新商品・流通政策」を着実に軌道に乗せた証でもある。

もっとも、個々の販売会社ベースでは苦戦が続いている。例えば最大の販売網であるカローラ店は軽自動車との激しい競合に直面、主力の『カローラ』では対抗が難しく「トヨタ最小」の『パッソ』で必死の防戦に出ている。

売り方も各トヨタ系列が「残価設定型」のローンを提案するなど、もがきながらも市場の縮小に立ち向かう気力が見える。登録車市場でのライバル社が、新モデルの不在や販売系列の再編でなおも低迷するようだと、常時5割という独走態勢が築かれる。ライバル社の奮起こそが国内市場活性化のカギとなる。

《池原照雄》

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