【伊東大厚のトラフィック計量学】道路からのCO2を測る 環状道路と東京の渋滞 その1

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【伊東大厚のトラフィック計量学】道路からのCO2を測る 環状道路と東京の渋滞 その1
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環状道路が未整備な東京

環状道路は、都心部への交通集中を防ぎ、渋滞軽減効果があると言われている。東京は、世界有数の大都市にもかかわらず、環状道路、特に高速道路規格の環状道路が未整備だ。

東京圏には、3本の環状高速道路が建設される予定である。首都高速の中央環状線(中環)は、その一番内側に位置し、東側から建設されている。2002年12月、江北−板橋間7kmの完成で、47kmのうち26kmが開通した。現在工事中の中環新宿線は、2007年12月には池袋−新宿間、2009年度中には新宿−渋谷間の合計11kmが開通する。(図1)

◆1kmあたり1000億円

昨年11月、中環新宿線の工事現場を見学する機会があった。場所は、JR東中野駅そばを走る山手通りの地下である(中環新宿線は全線トンネル)。道路は、地下10階に相当する深さである。掘削工事はほぼ完成し、今は舗装、換気、防災設備など“儀装工事”が中心、とのことあった。(写真1)

大都市で、10kmを超える高速道路トンネルの建設は、世界でも殆ど例を見ないそうだ。工事費は、用地買収費などを含め、ざっと1kmあたり1000億円、2歩も歩けば、もう1億円である。

道路の建設は、橋やトンネルが多いとコストがかかる。近年、高速道路は、都市や山間部での建設が増えているが、平地部分もあり、1kmあたり建設コストは平均50億円ほどだ。しかし都市高速の場合、殆どが橋やトンネルで、中環新宿線のように全線トンネルとなると、桁外れにお金がかかってしまう。

◆コストがかかる原因は?

原因はまず、ルートがまっすぐに引けないことだ。大都市の地下は、電気、ガス、水道など埋設物が多く、地下鉄も走っており、これらを避けなければならない。また中環新宿線は、4号新宿線、3号渋谷線との交差や出入口もあるため、深く掘ることもできない。

また、都市の長大トンネルは、事故時の避難路、換気用のダクト、さらに環境対策や防災対策を充分に施す必要がある。中環新宿線には、換気所が9カ所もある。東中野の地下換気所には、巨大なファン(扇風機)が設置されていた。ファンを回すと騒音が出るので、直径30cmほどの“大型マフラー”を数十本並べたような防音設備があった(写真2)。SPMとNOX濃度を下げるためのフィルターも設置されている。

都市の地下環状道路建設がコスト高になるのは、トンネル掘削が難工事なのに加え、多くの付帯設備を必要とするためだ。

《伊東大厚》

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