不動産取引を巡るトラブルから、不動産会社が所有する乗用車に対して拳銃を発砲したとして、殺人未遂罪に問われていた41歳と23歳の暴力団組員に対する判決公判が16日、福岡地裁小倉支部で開かれた。裁判所は41歳の被告に懲役の実刑と罰金、23歳の被告に懲役の実刑を命じた。
事件は2005年8月29日朝に発生した。不動産会社に勤務する25歳(当時)の男性が、会社所有の社長専用車を運転していたところ、後方から追い越しを仕掛けてきた乗用車に乗った男が拳銃を発砲した。
銃弾はクルマの助手席側を貫通。運転していた男性にケガは無かったが、流れ弾は約700m先にあるマンションの部屋を直撃。窓ガラスを貫通し、台所付近の壁に当たっていた。当時はこの部屋に住む男女2人が食事をしていたが、弾丸は足元をかすめただけで2人にケガは無かった。
その後の調べで、この会社が事件直前に競売で落札した不動産を巡り、地元の指定暴力団とトラブルになっていたことが判明。銃撃を行った41歳の幹部組員の男と、クルマの運転をしていた23歳の組員の男が殺人未遂などの罪で起訴されていた。
16日に行われた判決公判で、福岡地裁小倉支部の野島秀夫裁判長は現場から離れたマンションまで流れ弾が飛んだことに触れ、「死傷者が出なかったのは偶然というほかない」と指摘した。その上で「通行人を死傷させる危険性が高く、極めて危険で悪らつな犯行だ」として、41歳の被告に対して懲役25年と罰金50万円、23歳の被告に懲役15年の実刑を命じた。