三菱新技術『ツインクラッチSST』…長所と短所と今後

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三菱新技術『ツインクラッチSST』…長所と短所と今後
三菱新技術『ツインクラッチSST』…長所と短所と今後 全 3 枚 拡大写真

三菱自動車が次期『ランサーエボリューションX』向けに開発した新型機械式自動変速機「ツインクラッチSST」は、マニュアル変速機、トルクコンバーター式オートマチック変速機に比べ、数々の利点を持っている。

最大のアドバンテージは動力性能だろう。6速ATはもちろん、6速MTをプロのドライバーが操るよりも素早い変速で、動力性能は3種の変速機のなかで最も高い。

また、燃費も優れている。三菱自動車が例として挙げたのは5速ATとの比較。特定の燃費測定モード下において、5速ATが8.3km/リットルであったのに対し、6速ツインクラッチSSTは10km/リットルであったという。ちなみに6速MTと比べても若干ながらツインクラッチSSTのほうがリードするとのこと。

一方、ビハインドとなるのは重量とコスト。

「重量は2軸式の5MTに比べて、トータルで約20kgほど重くなります。1段分のギアの重量は2−3kgですから、そのぶんを差し引いてもやはり少し重いですが、極端な重量増は避けることができたと思います。コストもやや高い。相当詰めましたが、6ATに比べるとまだ若干高いかなという印象です。量産が進めばもっと安くなると思います」(ツインクラッチSSTを開発した木村孝雄氏)

このツインクラッチSSTはランエボのターボエンジンのような強大なトルクの入力に耐えるシステムであるという点が特徴。それだけに、より小型のガソリンエンジンにはオーバースペックで、「下位モデルへの展開はあまり現実的ではない」(木村氏)という。

ランエボ以外のモデルにツインクラッチSSTを展開する計画はすでに存在しているとのことだが、当面はクリーンディーゼルや大排気量V6など、上位モデルへの展開が中心になるだろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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