【池原照雄の単眼複眼】増益確保には、どこまでの円高に耐えうるか

自動車 ビジネス 企業動向

自動車株もメルトダウン

自動車各社が夏休みだった先週、世界同時株安と急速な円高が進んだ。先週末に大暴落した日本市場の株価は、米FRBの公定歩合引き下げで週明けから何とか持ち直してきた。円高によってメルトダウン状態になっていた自動車株にも買いが入っているが、なお「売られ過ぎ」の感が強い。為替の予測は専門家に任せるとして、自動車メーカーの今期(08年3月期)業績には、一体どのレベルが増減益の分水嶺なのか---。

各社の9月中間期(上期)までの為替予約はおおむね手当て済みであり、上期のドル円レートは1ドル=120−121円レベルになる模様だ。期首の業績予想の前提としたレートは、大半の企業で1ドル=115円。このため、下期の平均レートが同110円という現状より円高水準で推移した場合でも、ほぼ期首前提のレベルになる。

◆ホンダは第1四半期時点で増益に修正

四半期ごとに為替レート(売上レート)と業績予想をこまめに見直すホンダのケースを見てみよう。期首時点では1ドル=115円、1ユーロ=150円を前提としていたが、第1四半期決算の段階で、それぞれ同117円、同155円の円安方向に見直した。

ドル円は上期が121円、下期が113円という想定だ。これに伴い、期首時点では前期比9.6%の減益予想としていた営業利益は、逆に3.3%(281億円)増益の8800億円に上方修正している。期首時点ではドル円レートで円高を前提としていたが、通期では前期(07年3月期)と同レベルと見込んだため、利益予想が上ぶれしたものだ。

◆1ドル=110円突破すれば黄信号

上期は1ドル=121円より、若干円高に振れる可能性もあるが、ほぼ想定のレベルに落ち着きそう。従って下期が1ドル=113円となった場合でも、3%程度の営業増益が確保される見通しだ。

ホンダの場合、1ドル=1円の変動で半期だと100億−150億円程度の影響が出るため、下期のレートが同111円レベルで営業利益は前期並みと推定できる。あくまでも、他の通貨の動きや販売の変動を無視したものだが、目安にはなる。

トヨタは、期首の1ドル=115円という前提レートや、若干の増益とした営業利益予想は据え置いたままだ。従って上期実績が同120円とすると、下期は同110円でも増益は確保できる。両社の業績予想から、今後1ドル=110円を突破する円高が進んだ場合、自動車業界の増益確保に黄信号が灯ると見ることができる。

《池原照雄》

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