【伊東大厚のトラフィック計量学】ETC今昔物語 その2…高速道路を利用しやすく

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【伊東大厚のトラフィック計量学】ETC今昔物語 その2…高速道路を利用しやすく
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ETC(Electric Toll Collection、自動料金収受)の普及によって料金所渋滞はほぼ解消した。一定の普及率に達した今日、ETCを活用すれば高速道路をもっと利用しやすくすることができる。

料金割引とスマートIC

料金が下がれば高速道路は利用しやすくなる。早朝や夜間など料金が割引かれているのに気づかれた方も多いと思う。公団民営化の際に実施された深夜割引や通勤割引に加え、様々な割引が試行されており割引率も3割から5割と大きい。時間帯や乗り降りIC(インターチェンジ)毎に料金が簡単に変更できるのは、ETCがあるからだ。

SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)に「○○スマート」という標識を見かけることも多くなった。スマートICとはETC専用の出入り口のことだ。スマートICは構造が簡単になるのでIC設置コストが安くなる。SAなどを活用した場合さらに安くなり、1か所あたり30億−60億円かかる設置コストが10分の1程度で済むという(図1、2)。

現在31か所あるスマートICの殆どは、このSAPA接続型だ。全国には400か所近くのSAとPAがあり、高速バス停も活用すれば増設の余地はありそうだ。また一般道路との交差か所にもスマートICを設置すればさらに高速道路は利用しやすくなる。

高速道路利用率1%アップの意味

高速道路はどのくらい利用されているのだろうか。高速道路の利用率は現在15%弱(※)であり、欧米の20−30%より低いレベルに留まる。その原因は、欧米と異なり日本の高速道路の殆どが有料で料金も2−3倍高いこと、さらにIC間隔も2倍と長くアクセスが悪いことにある。

※高速道路の走行距離/全道路の走行距離  高速道路には都市高速や地方の有料道路、ICを持つ国道も含む

高速道路の利用率は、1%アップであっても重要な意味を持つ。高速道路が便利になるだけではなく、環境改善などの社会的効果があるからだ。一定速度で走れる高速道路は一般道路より燃費がはるかに良い。また高速道路の利用が増える分、一般道路や生活道路は空くので渋滞改善や交通安全につながる。

政府は、高速道路の利用率が13%からドイツ並みの30%になるとCO2が年間1100万トン減り、交通事故死者数を900人減らせると試算している。高速道路と一般道路では、平均燃費と死亡事故率が異なるためで、実績値に基づく信頼できる試算だと思う。利用率1ポイントのアップは、CO2を60万トン、交通事故死者を50人減らすことを意味する。

◆高速道路利用率の目標設定が必要

高速道路は料金が高くアクセスも悪いため充分活用されていると言えない。高速道路が空いているのに並行する一般道路が混んでいる区間は65%に上るそうだ(図3)。

高速料金引下げとICの増設は、高速道路を最大限活用するための2大施策だ。5年後に20%、10年後には25%など、まず高速道路利用率の目標を定め、その実現のため料金引下げやICの増設を進めるべきだ。

《伊東大厚》

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