【伊東大厚のトラフィック計量学】ETC今昔物語 その4…車載システムのこれから

自動車 ニューモデル 新型車
【伊東大厚のトラフィック計量学】ETC今昔物語 その4…車載システムのこれから
【伊東大厚のトラフィック計量学】ETC今昔物語 その4…車載システムのこれから 全 2 枚 拡大写真

前回、ETCの普及と活用による「使いやすい高速道路」の実現可能性について触れた。今回は、ETCなど車載システムの機能がどのように多様化していくか、解説したい。

◆様々な場面での自動決済

ETCの利用者番号を事前に登録しておけば、駐車場やカーフェリー乗船時などでも自動決済ができるようになってきた。有料道路以外での決済へのETC活用は、ガソリンスタンドやドライブスルーなどでも想定されている(図1)。

ETCは、DSRCという通信方式を採用している。DSRCは路側装置から30m程度の狭域で高速・高精度の通信が可能だが、車載器のみならず路側装置も少々値が張るようだ。路側装置のローコスト化など課題がクリアされれば、駐車場やガソリンスタンドをはじめ広く民間事業にも普及していくだろう。

◆インフラ協調型の予防安全への活用

出会い頭や死角、カーブの先の落下物や渋滞末尾の事故など、ドライバーがいくら注意しても、あるいはクルマのセンサーがあったとしても防ぎきれない事故は多い。こうした場合、路側機器から車載器を介してドライバーに注意喚起できれば、事故の予防につながる。

衝突被害軽減ブレーキなどクルマ単独の予防安全システムを「自律型」と呼ぶのに対し、道路やクルマ間の通信を使った仕組みを「インフラ協調型」と呼んでいる(図2)。DSRCは、VICSに使われている光ビーコンなどとともに、安全運転のための情報提供に活用される。既に公道上でデモを兼ねた実験が行なわれ、来年度、より大規模な形で公道実験が行なわれる見通しだ。

◆次世代型の車載器

「ITS車載器」と呼ばれる次世代型車載器の規格化も進んでいる。ITS車載器では、DSRCやVICSのビーコンなどがひとつの通信モジュールに集約され、また利用者が戸惑わないようナビの画面表示や音声の統一化が図られる。次世代型の車載器は、携帯やパソコンがそうであるように、ニーズに応じた“松竹梅”も生まれるのだろう。

なお、安全運転のための情報は、車載器を買い換えなくても受信できる仕組みも重要だ。ETC車載器やカーナビ・VICSは既に相当数普及している。例えば注意喚起の場合、音声が有効と考えられる。VICSのビーコンやETCの音声ガイダンス機能を活用しない手はない。インフラ協調型の予防安全を普及させる第一歩として、まず多くの人に有効性を実感してもらうことが重要だと思う。

《伊東大厚》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. アルファロメオの新型SUV『ジュニア』日本発売に、「420万円はリーズナブル」「マジで美しい」など反響続々
  2. トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタ自動車に生産移管、いなべ工場は商用車専用に
  3. クーペSUVに進化! アルファロメオ『ステルヴィオ』次期型を完全プレビュー
  4. 背もたれに貼り付いた子どもたちの頭髪に…学術集会で議論された「ジュニアシートの適正使用」【岩貞るみこの人道車医】
  5. 「まさにアメリカンスポーツの最高到達点」1000馬力越えの『コルベット』にSNSも注目!コスパ最強ハイパーカー誕生か
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る