北京で開催中の第14回ITS世界会議において、日産自動車はBTIC (Beijing Trafic Infomation Center)との共同社会実験「STAR WINGS」の発表と、北京市内の試乗デモンストレーションを行った。
「タクシープローブによるリアルタイム渋滞情報は日本のVICSに比べて情報量が多く、プローブ対応タクシーも政策的に増えていることから、今後さらにデータ容量が増えることが予想されます。そうなれば、将来的にFM多重放送の帯域では不足し、配信される渋滞情報量を削らざるを得なくなる。 STAR WINGSでは将来を見据える形で、携帯電話インフラを使うテレマティクス型を採用しました」(酒井雄揮志・日産自動車テクノロジーマーケティング室主担)
日産が渋滞情報提供「STAR WINGS」でサービステレマティクス型を採用した背景には、北京の携帯電話サービスの料金体系が“テレマティクス向き”ということもある。日本ではデータ通信料金の定額制は“携帯電話内のデータ通信のみ”だが、北京ではカーナビなど携帯電話に接続した外部機器も適用になるという。
「STAR WINGSはBTICとの共同社会実験という位置づけであり、これをそのまま日産の(中国向け)テレマティクスにするというわけではありません。しかし、中国では『セキュリティ』『渋滞情報・回避サービス』『有人オペレーターによるコンシェルジェサービス』などの需要が高く、近い将来、中国向けテレマティクスも実現したいと考えています」(酒井氏)
STAR WINGSは2008年の北京オリンピック開催まで実験が行われ、市内で走らせる実験車も段階的に増やす。日産では、高級車向けの組み込みカーナビだけでなく、PNDでの利用も含めて幅広く実験していく模様だ。
「当面は来年の北京オリンピックに向けて実験を進めますが、その後には、2010年の上海万博がある。北京でSTAR WINGSの実績を作り、それを中国の他都市にも広げ、いずれは日産の中国市場向けテレマティクスを作りたい」(酒井氏)