【伊東大厚のトラフィック計量学】2006年度のCO2速報

自動車 ビジネス 企業動向
【伊東大厚のトラフィック計量学】2006年度のCO2速報
【伊東大厚のトラフィック計量学】2006年度のCO2速報 全 2 枚 拡大写真

2006年度はCO2減となったが…

政府は11月5日、2006年度の温室効果ガス排出量の速報を発表した。日本国内の温室効果ガスの総排出量は、1990年度比では6.4%増であるものの2005年度比1.3ポイントの減少となった。

温室効果ガスのほとんどは、エネルギー起源のCO2、すなわち燃料の消費によるものだ。エネルギー起源CO2の部門別内訳から、家庭やオフィスなどの減少が寄与したことがわかる(表1)。

家庭やオフィス、店舗など「民生部門」の燃料の使途は、主に冷暖房、照明、給湯だ。CO2が減ったのは、記録的な暖冬による灯油と電力消費の大幅減と分析されており、残念ながら省エネ対策が功を奏したわけではなさそうだ。今年、冬が寒ければCO2はまた増えてしまうかもしれない。従って90年度比−6%という京都議定書の目標達成は、相変わらず厳しい状況にある。

◆議定書の目標達成が見えてきた運輸部門

06年度は自動車など運輸部門のCO2も減った。05年度比−0.9%、240万トンの減少で、排出量は2億5400万トンとなった。環境省の分析によると、マイカー(自家用乗用車)のCO2が05年度比−2.0%、250万トン減と貢献しているようだ。

運輸部門のCO2排出量は、01年度の2億6,800万トンをピークに減少基調に入っている(図1)。トラックなど貨物輸送のCO2減に加え、マイカーも05年度から2年連続の減少となり、2010年度で2億5000万トンという京都議定書の目標まで残り400万トンに迫っている。

◆年あたり−1%がCO2半減につながる

図1から、運輸部門のCO2排出量は2001年度から06年度の近5年で1400万トン減ったことになる。年あたりに換算すると280万トン、排出量の1%強だ。

また現在のところ、運輸部門や自動車のCO2が増加に転じることはなさそうだ。まずクルマの燃費性能は今後も向上を続ける。加えてエコドライブの普及や環状道路整備の進展など、燃費のアップ要因は数多い。また燃料価格の高騰と自動車販売の低迷は、保有台数や走行距離の増加を抑制する方向に働く。

燃料の高騰と自動車販売の低迷は、経済の観点からは“明るい話題”とは言えないものの、毎年1%強CO2が減ることは重要な意味を持つ。年1%前後の減少でも50年続けばCO2は半減する。「年−1%」は、「2050年までにCO2半減」達成の目安となる。

《伊東大厚》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. アルファロメオの新型SUV『ジュニア』日本発売に、「420万円はリーズナブル」「マジで美しい」など反響続々
  2. 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』が日本導入…6月の新型車ランキング
  3. クーペSUVに進化! アルファロメオ『ステルヴィオ』次期型を完全プレビュー
  4. トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタ自動車に生産移管、いなべ工場は商用車専用に
  5. トヨタ RAV4 新型の競合は? 価格帯別にライバルを予想する
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る