【伊東大厚のトラフィック計量学】07年度も減り続ける運輸部門のCO2

自動車 ビジネス 企業動向
【伊東大厚のトラフィック計量学】07年度も減り続ける運輸部門のCO2
【伊東大厚のトラフィック計量学】07年度も減り続ける運輸部門のCO2 全 4 枚 拡大写真

目標まで400万トンとなった運輸部門

環境省が公表した2006年度の温室効果ガス排出量の速報によれば、運輸部門のCO2排出量は05年度比240万トン減の2億5400万トンとなり、議定書の目標にあと400万トンに迫った。

【画像全4枚】

直近の07年度はどうなっているのだろうか。CO2排出量は、燃料消費量が分かれば目安がつく。運輸部門は燃料としてガソリン、軽油、ジェット燃料、重油のほか電力も使われているが、自動車が使うガソリンと軽油の消費量だけでも、ある程度の見通しがつく。運輸部門のCO2は9割近くが自動車からの排出であるためだ。

07年度上期の燃料販売量からCO2を推定すると…

燃料の消費量に相当する販売統計は、翌月末には資源エネルギー庁から速報が公表されており、現在4月から9月までの上半期の販売量がわかる。07年度は06年度を下回っている月が多いことがわかる(図1 - 2)。

図3の前年同月比でみると、4 - 8月ではガソリン−2.4%、軽油−3.5%と減少率が大きい。9月が極端な増加に転じているが、これは10月から燃料価格アップが伝えられたための「駆け込み需要」とも考えられる。上半期の段階ではガソリン-0.8%、軽油-2.3%だが、07年度は年率2%程度まで減少する可能性もあると思う。今後の動向には注目したい。

自動車燃料の1%減は、年換算すると200万トン以上のCO2減に相当する。年率で2%減となれば、400万トン以上のCO2減となり、運輸部門は07年度中に議定書の目標(2億5000万トン)に到達する計算になる。

08年度から始まる議定書のカウント

ところで、京都議定書の目標は「2010年度で1990年度比−6%」と考えておられる方も多いと思う。正確には2010年度単年度ではなく、08年から12年度までの平均値と90年度を比較する。つまり来年度からカウントは始まるわけだ。

運輸部門は、遅くとも08年度には目標の2億5000万トンに達する可能性が高い。2012年度までの5年間で、削減量はどのくらい上積みできるだろうか。

運輸部門のCO2排出量は、2001年度をピークに近5年で年平均280万トン減少している。この調子でいくと、2012年度には2億4000万トンを切るレベルまで減るかもしれない(図4)。日本全体での目標達成が危ぶまれる中、運輸部門の削減量上積みは“うれしい誤算”といえるだろう。

《伊東大厚》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ライバルはアルファード? メルセデスベンツの最高級ミニバンが日本初公開!…ジャパンモビリティショー2025
  2. カローラクロスと立場が逆転、だからこそ生まれた「斬新セダン」のデザイン…ジャパンモビリティショー2025
  3. 三菱自動車、国内販売は5期連続増 2025年4~9月期実績
  4. アバルト最初のSUV『パルス』、Netflix『ストレンジャー・シングス』仕様をブラジルで限定発売…隠し装備も
  5. インフィニティは最上位SUV『QX80』にGT-Rエンジン移植、1000馬力超「R-Spec」発表へ…SEMA 2025
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る