【池原照雄の単眼複眼】軽ナンバー1の持続を目指すダイハツの新鋭工場

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【池原照雄の単眼複眼】軽ナンバー1の持続を目指すダイハツの新鋭工場
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革新的なスモールカー工場目指した大分第2が竣工

ダイハツ工業がきょう19日、軽自動車生産の新鋭拠点である大分第2工場(大分県中津市)の竣工式を行う。フル稼働時には同第1工場と同じ年23万台の能力をもち、合計では同社最大の工場となる。生産規模だけでなく第2工場は「革新的なクルマづくりを目指すモデル工場」(箕浦輝幸社長)と位置づけており、トップに立った軽自動車の競争力に一段と磨きをかける構えだ。

2006年10月に建設を発表した第2工場は、当初計画から大幅な見直しを行った。05年に親会社のトヨタ自動車副社長だった白水宏典氏が会長としてダイハツに送り込まれたからだ。白水会長はトヨタ時代に生産部門のトップとして、海外を主体にした工場展開の指揮を執ったトヨタ生産方式のオーソリティであり、トヨタの急速な業容拡大を支えた。

◆トヨタの権威が造ったスリムで低コストなライン

ダイハツ首脳によると、大分第2工場の建設に当たっては「白水会長が厳しい目標を設定し、それを根気よくクリアした」という。当初、社内にはトヨタからの小型車受託生産の拡大にも対処できるよう第1工場同様に軽と小型車の混流ラインとする方針もあった。

だが、第2の方は軽専用と割り切ることで設備面などの無駄を徹底的にそぎ落とした。結果、第1工場と比べて「工場スペースや投資額は6割程度まで縮減できた」(箕浦社長)のだ。建屋面積は第1の8万平方メートルに対して5万平方メートル、設備投資は400億円に対して235億円となった。

工場づくりのプロである白水会長にとっては自信作となったようで、19日の竣工式では自らが来賓に工場概要の説明を行う。この工場のノウハウは、海外の主力拠点であるインドネシア工場への展開も始まった。ダイハツにとってはスモールカー生産のマザー工場という位置づけにもなっている。

◆09年にシェアトップ奪還を図るスズキを迎撃するには…

実は、大分第2が本格稼働する08年のダイハツの国内生産は今年とほぼ横ばいの計画だ。当面は増産対応ということでなく、パンパンのフル操業状態になっていた本社工場(大阪府池田市)や滋賀、京都工場の稼働率を平常ベースに戻す効果が大きい。

神尾克幸副社長は「既存工場の休出や残業の軽減による全社的なコスト改善効果は極めて大きい」と指摘する。もちろん、第2工場で生産される軽自体のコストも大幅に改善される。

ダイハツは06年度に初めて軽シェアのトップを奪取、07年暦年ベースでも首位が確実だ。トヨタグループの一員としてその座を死守するのが経営陣の命題でもある。

ライバルのスズキは国内生産能力の拡大が実現する09年からは「減産している軽も通常生産に戻せる」(鈴木修会長)と、トップ奪還に動き始める構え。ダイハツとしてはそれまでに、大分第2の本格稼働をテコに、コスト競争力でも揺るぎない体質を構築し、迎撃したいところだろう。

《池原照雄》

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