日産自動車とクライスラーLLC(クライスラーグループ)は、小型車の販売について提携の話し合いを進めており、両社は11日、日産のコンパクトカー『ヴァーサ』のクライスラーへのOEM提供で合意したと発表した。
販売する車の半数以上のモデルがSUV、ピックアップ、ミニバンなどのライトトラック系であるクライスラーは、昨今の原油高でもっとも打撃を受けているメーカー。ダイムラーと袂を分かった今、乗用車、特にコンパクトカーセグメントへの参入が今後の回復の鍵、とも言われている。
そのためクライスラーは中国のチェリー自動車との提携を模索したが、チェリー製の車はアメリカの厳しい安全基準に合致せず、販売は困難、との見解に達した。チェリーとの提携が白紙撤回されたわけではないが、改善のための技術供与などを行い、採算の取れる価格でクライスラーから小型車が販売できるのか、結論は持ち越されることになった。
日産とクライスラーとの間で進められているのは、日産のコンパクトカー『ヴァーサ』セダン(日本名『ティーダラティオ』)のOEM提供。デザインを変え、クライスラーのバッジをつけて主に南米での販売が目指されている。2009年以降、日産から年間2万台を提供、日産のメキシコ工場で生産され、そのまま南米市場で販売されるという。
業界の噂では、カルロス・ゴーン日産CEOはクライスラーのフルサイズピックアップトラックの技術に興味を示している、とも言われ、コンパクトカーをきっかけにこの2社が今後より緊密な提携関係に入る可能性は充分にある。