【池原照雄の単眼複眼】「プラグイン」で激突する両雄

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【池原照雄の単眼複眼】「プラグイン」で激突する両雄
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ともに2010年までの投入を表明

開幕した北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)では、今年も環境技術でのアピールに各社の焦点が当てられているようだ。

なかでもプラグインハイブリッド車(PHV)は、トヨタ自動車と米GM(ゼネラルモーターズ)が2010年までの市場投入を表明、世界の両雄が威信をかけるように競い合っている。

1年前のデトロイトショーではGMがPHVのプロトタイプシボレー『ボルト』(その後このモデルは燃料電池車に変更になっている)を出品、プラグインではトヨタに先行するかに見えた。しかし、トヨタは昨年7月に『プリウス』ベースのPHVを発表、秋までには日米欧での試験走行に入った。

昨年の年末定例会見で渡辺捷昭社長は、PHVの実用化に向け、パナソニックEVエナジーでリチウムイオン電池の量産化準備に入ったことを明らかにしていた。そのうえで、今回、2010年までの市場投入という明確な商品化スケジュールを表明した。

◆GMは当初から一般ユーザー向け?

これに対抗するかのようにGMも、SUVサターン『ビュー』にPHVを設定、2010年にも生産を開始すると発表した。サターン「ビュー・グリーンライン」とネーミングされたこのモデルの試作車はプレスデーで披露され、同クラスのガソリンエンジン車に比べ、燃費性能はほぼ2倍と紹介されている。

また、「通常の生産」による初のPHVになるだろうとアピールしている。トヨタが当面は、フリート向けの販売になるというところを衝いたもので、当初から一般ユーザー向けを目指すようだ。

サターン・ビュー・グリーンラインは、リチウムイオン電池を搭載しており、HV機構はGMの「2モード」システムを採用した。同システムは、市街地走行とハイウェイ走行に応じてそれぞれに適したモーターと変速機を使い分ける方式だ。

◆リチウムイオン電池の開発を競う場に

初期のテストではフル充電の状態から、低速モードで10マイル(約16km)のEV走行ができるという。また、家庭の110ボルト電源でフル充電には4 - 5時間を要すとしている。リチウムイオン電池の詳細は明らかにしていないが、容量としてはまだ決して大きくないようだ。

トヨタの現状のPHVは、プリウスをベースに同車の2倍の容量のニッケル水素電池を搭載しているのだが、フル充電でのEV走行は13km、充電時間も100ボルトで3 - 4時間という性能。リチウムイオン電池を搭載したサターン・ビューと遜色のないレベルである。

逆に見れば、GMが採用しているリチウムイオン電池にはまだまだ改良の余地があるということだ。GMは昨年8月、車載用リチウムイオン電池の開発について、韓国のLG化学グループに加え、米国の新興メーカーである「A123システムズ」とも共同開発契約を締結し、日本勢への追い上げを図る体制とした。

トヨタも現状ではリチウムイオン電池で大きなアドバンテージをもっているわけではない。それだけにPHVの開発競争は、単にハイブリッドの1分野の競争にとどまらず、車載用として本格採用されるリチウムイオン電池技術の優劣を競う場ともなってきた。

《池原照雄》

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